俳誌「俳星」第1巻をデジタル化 能代市ホームページで公開

能代市立能代図書館が「俳星」をデジタル公開(画像は第1号、同図書館蔵)
明治から平成にかけて能代市を拠点に発行され、国内有数の歴史を誇る俳誌「俳星」。原本を所蔵する市立能代図書館は、第1巻(第1号~第12号)をデジタル化し、市のホームページで公開を始めた。第1巻を完全な形で所蔵している公共図書館は国内で同図書館のみとみられ、デジタル化は学術的にも意義がある取り組みという。藤重雅継館長は「能代の宝である『俳星』を多くの方に見てもらいたい」と話す。
同図書館が所蔵する「俳星」7巻84冊は、2年秋に書庫から発見。平成26年3月ごろに北海道小樽市の「小樽文学舎」から寄贈されたものとみられている。状態は良かったものの、発行から100年以上が経(た)ち、劣化が進んでいたことから資料保存のため、専門業者に依頼し、昨年までの2年間ですべての冊子の脱酸性化処理や修繕を実施。このうち令和3年春に終えた第1巻は、同年に期間限定で同図書館や秋田市のあきた文学資料館で展示された。
その後は劣化を防ぐため非公開としているが、デジタル技術を用いて後世に伝えるとともに、多くの人に「俳星」や明治の文学に親しんでもらおうと、同資料館顧問の京極雅幸さん(秋田市)や元県立図書館副館長で総務省地域情報化アドバイザーの山崎博樹さん(同)らの協力を得て、デジタル化の作業を進めてきた。
今回公開したのは、県内で唯一現存が確認されている第1号を含む第1巻の12冊。京極さんによると、第1巻が完全な形で現存しているのは貴重で、デジタル撮影してネットで公開している公共図書館はないという。
「PDFファイル形式という単純で簡便な形での公開」(京極さん)だが、各号では、創刊に携わった石井露月や島田五空、佐々木北涯をはじめ、「俳星」の名付け親で、題字を揮毫(きごう)した正岡子規、門弟の高浜虚子、河東碧梧桐、青森県弘前市出身の佐藤紅緑、盛岡市の「杜陵吟社」メンバーで後に「俳星」の第4代主幹を務める岩動炎天ら各地で活躍した俳人の作品を鮮明に読み取れる。
京極さんは「能代が誇る文化遺産である『俳星』のデジタル化を地元の人が手掛け、公開したことに大きな意義がある。公開によって、『俳星』への関心が広がるとともに、本県の日本派俳句、他の地域とのつながりなど研究がさらに進むと思う」と期待を寄せた。
藤重館長は「図書館の使命である資料の『保存』と『公開』をデジタル技術を用いて解決した点で一歩を踏み出せたと思う。スマートフォンで『俳星 デジタル』と検索するだけで、見ることができるので、多くの方にアクセスしてもらいたい」と話した。
同図書館は、ホームページで市の公開ページへのリンクバナーを公開している。出版やインターネット上での公開など複製使用する場合は、同図書館の許可が必要。申請はメール(l.noshiro@
dune.ocn.ne.jp)で受け付ける。
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