「三日ミシャク」でミキ作り 瀬戸内町実久 クガツクンチ控え神前に
材料を入れてかき混ぜ、ミキを仕込む実久集落の住民＝２３日、瀬戸内町実久
鹿児島県瀬戸内町・加計呂麻島の実久集落（安田則夫区長、１１世帯１７人）で２３日、クガツクンチ（旧暦９月９日、今年は新暦１０月２５日）の前々日にミキを作って神前に供える「三日ミシャク」があった。住民が公民館でミキを仕込んだ後、集落の実久三次郎神社に供え、ミキづくりの成功を願った。２５日まで発酵させる。
実久三次郎神社は１１５６年の保元の乱で敗れ、伊豆大島に流された後、琉球列島に渡ったといわれる鎮西八郎為朝の子、実久三次郎を祭っている。毎年クガツクンチに豊年祭、敬老会を兼ねた大祭があるが、今年は新型コロナウイルス感染防止のため中止。神事のみ執り行われることが決まっている。
この日は、まず前日に臼で製粉した米の粉を沸騰した湯の中に入れ、かき回しながら煮て、砂糖、前日に米の粉を水で溶いて神前に供えていた「ミシャクのクチ」、サツマイモのでんぷんの順に投入。うちわであおいで冷ましながらさらにかき混ぜた。
バショウの葉でふたをしたかめ（手前）を供え、ミキづくりの成功を祈る奥野さん＝２３日、瀬戸内町実久
神社でかめに移し入れ、バショウの葉でふたをして神前に供えた。２５日にはふたを開け、出来上がったミキと共にシュク（米粉に水を加え混ぜたもの）、ヒムン（魚の干物）を供えるという。
同神社を管理する奥野睦子さん（７０）によると、十数年前までは大祭の翌日に住民が神社境内に集合し、神に祭りの成功を報告した後に住民の労をねぎらう「イタシキバレ」があり、重箱を囲んでミキを振る舞って八月踊りを踊ったそうだが、現在は行われていないという。
４０年以上、三日ミシャクに関わる奥野さんは「『クガツクンチにミキが無事できますように』と願い、かめを供えた。集落の人口は少なくなったが、毎年みんなの健康をいただかないといけない。シマ（集落）にいる限り続けていく」と話した。
町立図書館・郷土館によると、加計呂麻島では実久集落のほか、諸数、諸鈍で三日ミシャクが残っているという。
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