全国郷土紙連合

全国11新聞社加盟kyodoshi.com

北海道から沖縄県石垣島まで、南北に長い日本列島。今日もどこかでホットなニュースが生まれる。

荘内日報社

松くい虫被害 庄内昨年過去最悪5万5644立方メートル 優先順位に従った駆除必須 松林守るため捨てる覚悟も

 庄内地域のクロマツ林でマツノマダラカミキリ(松くい虫)による被害が広がっており、2023年は鶴岡、酒田、遊佐3市町の国有林・民有林計5万5644立方メートル(材積換算、前年2万2976立方メートル)に及び、過去最悪になったことが分かった。27日に遊佐町議場で開かれた「庄内海岸林松くい虫被害対策強化プロジェクト会議」で示されたもので、「感染源」となる被害木を全て伐倒できなかったことに加え、夏季の高温・少雨による樹勢の衰えが主因。伐倒駆除、消毒液散布、抵抗性クロマツ植林といった対策を講じるが、予算・人員とも限られており、被害をくい止めることができるか不透明な状況だ。

 松枯れの原因となるのは体長1ミリほどのマツノザイセンチュウ。この虫を媒介するのが松くい虫で、松から松へと飛び回って樹皮を食べる。この際にセンチュウが木の中に入り込むことで木が衰弱し枯れてしまうという。同会議事務局の県庄内総合支庁森林整備課によると、2002年の大発生時は的確な防除で翌年以降は被害が収まり、11年には3市町計2322立方メートルまで減少したが、12年4月に発生した爆弾低気圧による枝折れ被害、夏季の高温・少雨で樹勢が低下し再び増加に転じ、16年には計3万1228立方メートルに広がった。

 県が実施した23年の民有林調査は計3万7820立方メートル、庄内森林管理署による国有林調査では計1万7824立方メートルでそれぞれ確認され、これまでで最も被害が広がった16年を大幅に超えた。市町別では、鶴岡市が7141立方メートル(前年3086立方メートル)、酒田市が3万5031立方メートル(同1万4303立方メートル)、遊佐町が1万3471立方メートル(同5587立方メートル)。事務局によると、夏季の記録的な高温・少雨、被害木の切り残しが影響したという。

 この日の会合にはプロジェクト会議を構成する県庄内総合支庁と3市町、庄内森林管理署、森林組合、自然保護団体などから計約30人が出席。24年度の被害対策計画について駆除事業は4月初旬から処理作業ができるよう発注準備をし、羽化脱出時期の6月上旬までに終える。予防事業では適期の消毒液空中・地上散布を行うほか、北庄内森林組合などで生産が進む抵抗性クロマツを植林する方針。

 協議に先立ちオブザーバーを務める森林研究・整備機構森林総合研究所東北支所の中村克典産学官民連携推進調整監が「松くい虫被害対策における戦略的防除の必要性・重要性」と題してオンライン講義。全量駆除はできる見込みが低いことを前提に「優先順位に従った駆除の実施が必須」と指摘。「守りたい松林」を隔離するために一部をあらかじめ除去することの必要性を説き、「『守るために捨てる』という覚悟がないと戦略的防除は成り立たない」と強調した。

「白砂青松」の庄内地域のクロマツ林だが、松くい虫被害が過去最悪となった=遊佐町役場提供

関連記事

伝統の刺し網漁体験

 【西表】40回目となる上原小学校(名嘉眞功基校長)伝統の刺し網漁体験学習「魚巻き集会」がこのほど行われた。西ゲータ川がそそぐ海岸に集合した児童と保護者らは、学年ごとに横一列に並んだ。池村直子P...

長野日報社

諏訪市の立石公園「オーバーツーリズム」対策 駐車場の予約制導入など運営見..

大型連休中の渋滞などオーバーツーリズム(観光公害)問題が指摘されている長野県諏訪市上諏訪の立石公園について、市は中長期的な対策として、予約制の導入を含めた駐車場運営の見直しを検討する。「現地で...

荘内日報社

鶴岡の朝に元気と活気を 鶴岡公園で「鶴市」始まる

 鶴岡の朝に元気と活気を―。鶴岡市の鶴岡公園二の丸広場で15日、地域の人や観光客、生産者が触れ合う場となる朝市「鶴市(つるいち)」が始まった。市内の農家が出店し、新鮮な旬野菜や山菜などが販売され、多く...

エアロKが観光PRへ十勝ロケ 北の屋台や庭園、温泉を動画に

 とかち帯広空港初の国際定期便を運航する韓国の格安航空会社(LCC)エアロKは9日から13日にかけて、十勝管内の観光スポットでロケを行った。PR動画や機内誌を作成し、5月に就航した帯広-清州(...

加盟新聞社

カテゴリー一覧

アーカイブ一覧

アクセスランキング

  • 週間アクセス
  • 月間アクセス

関連リンク