仙台育英 東北勢初優勝に貢献 斎藤(鶴岡四中出)住石(酒田三中出)2選手
大観衆が見つめる決勝で仙台育英の先発マウンドに立ったのは、背番号10をつけた左腕の斎藤蓉投手。「先発の準備はできていた。後を任せられる投手がいるので、自分はただ、思いっきり腕を振るだけだった」と、優勝を引き寄せた大舞台での好投に納得の表情を見せた。
昨秋の新チームではエースナンバーの背番号1をつけた。しかし今春以降はけがもあり、今夏の宮城大会ではマウンドに立つことができなかった。自分は甲子園のマウンドに立てるのか―。焦りも少しあったが、周囲のサポートで大会に臨むことができた。「不安なく、全力で投げることができた」。
中学生の頃から「甲子園で優勝」が夢だった。「東北初の優勝。100年越しの扉を開けることができて、うれしい。ほっとしている」。大役を成し遂げた達成感がある。「3年間、仲間に支えられた。最後に笑顔で終わることができて良かった」。チームへの感謝が口をついた。
第104回全国高校野球選手権大会の決勝が22日、西宮市の阪神甲子園球場で行われ、仙台育英(宮城)が8―1で下関国際(山口)を破り初優勝した。東北のチームが深紅の優勝旗を手にしたのは初めて。中学生の硬式野球チーム「酒田リトルシニア」出身の斎藤蓉投手(3年)=鶴岡四中出=が決勝の大舞台で先発し7回1失点の好投を見せた。酒田市では斎藤投手の後輩や同級生が集まり大型スクリーンで観戦。「白河の関越え」の達成と斎藤投手大活躍の“Wの喜び”に沸いた。

全国制覇を喜び合う酒田リトルシニアの選手やOB関係者=「月のみち」
酒田市幸町のホテルにある「オールデイダイニング月のみち」には大型スクリーンが設置され、酒田リトルシニアの選手やコーチ関係ら合わせて約30人が試合に見入った。「10」番を背負う仙台育英の斎藤投手がアウトを重ねるたび「よし」とこぶしを握り、7回に満塁本塁打でリードを広げると会場は歓喜に包まれた。最後の打者を3ゴロで打ち取った瞬間、みな両手を上げて喜び合った。
斎藤投手は酒田リトルシニアに入り、エースとして活躍した。試合を見守ったヘッドコーチの井上芳(かおる)さん(52)は「まさか決勝で先発するとは思わなかった。中学時代と比べて体はもちろん、メンタルが相当強くなったと感じた。落ち着いたマウンドさばきだった」と感想を語った。
同じく酒田リトルシニア出身で今大会3試合に出場し適時打を放った住石孝雄内野手(2年)=酒田三中出=についても「すごい選手たちの中で、ベンチ入りを勝ち取っただけでも素晴らしい。努力のたまもの。チームを支えた貢献度は計り知れない」と成長を認めた。
先輩の好投を目の当たりにした酒田リトルシニアの副キャプテン・阿部大和選手(13)=酒田四中=は「蓉さんも孝雄さんも自分がやるべきことをしっかりと成し遂げた。2人とも人の見えないところで努力している。先輩たちを見習いたい。自分も甲子園で活躍する選手になる」と目を輝かせた。
「蓉と孝雄の背中を後押しするぞ―」。大型スクリーンが設置された「月のみち」には、酒田リトルシニア時代に斎藤蓉投手と住石孝雄内野手とともに汗を流した同期4人が集まり、大一番を見守った。
4人は、いずれも羽黒高野球部の阿部慎之介さん(18)、阿部航太郎さん(18)、鈴木大和さん(18)の3人と鶴岡工野球部の佐藤叶夢(かなむ)さん(17)。ともに県大会に出場し、夏の甲子園出場を目指した。
酒田リトルシニア時代に同じ投手だった航太郎さんは「自分はシニア時代に蓉の背中を追いかける形だった。高校になって変化球のキレも制球力も一段とレベルアップしたな、と感じた」と斎藤投手の投球内容に感心しきった表情を見せた。

左から慎之介さん、叶夢さん、大和さん、航太郎さん。仙台育英の東北初の全国制覇を喜んだ=「月のみち」
慎之介さんは「甲子園という舞台で蓉と対戦するのが夢だった。決勝で好投し、ただただ『すごいな』という言葉しか見つからない。孝雄もチームの勝利に貢献した。2人に再会したら『おめでとう』と言いたい」と話した。
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