「てっさ」東北でも身近に 庄内や青森県の料理人が実習
トラフグの調理技術講習会が12日、鶴岡市の加茂水族館内のレストラン「沖海月」で行われた。同店の料理長・須田剛史さんが実習講師となり、庄内の料理人7人が習う形で、下処理から「てっさ」を造った。
県が主催したもので、ブランド化を進める「庄内浜天然とらふぐ」をより身近に感じてもらおうと実施。須田さんの前には、鼠ケ関港で水揚げされた2キロのトラフグ(7500円相当)がデーンと置かれた。包丁でさばかれ、猛毒を持った肝臓部分が現れると、周りから息をのむ音が漏れた。
須田さんは「庄内ではなじみがないが、ブランド化だけでなく、一般的にも当たり前に食べられればね」と言いながら、大皿に薄く切られた刺し身(てっさ)を手際良く盛り付けた。
“当たると死ぬ”ということから西日本では「てっぽう」の異名があるフグ。その刺し身なので縮めて「てっさ」。食文化として東北地方ではなじみが薄いが、この日は青森県からも「研修」として7人の漁業、料理関係者らが来鶴、さばき方などを学んだ。
青森では庄内よりも多くフグが捕れるというが、毒を持つこともあって「後々面倒」と再び海に戻すことも多いそう。また淡泊な味わいのフグと最も相性の良い薬味は、柑橘系と酢を合わせた「ポン酢」なのだが、柑橘系が育ちにくい東北では調味料としてポン酢が主流ではないため、フグの消費が伸びにくいという。青森市の料理人・野呂裕人さんは庄内へのエールも兼ねて「せっかくの食材。もっと東北でも大衆的に食べられるようにしたい」と話していた。
県は「食の都庄内 天然とらふぐキャンペーン」と題して、12月1日から来年3月15日まで展開。地元料理店でフグを使ったメニューの拡大などを図る。

須田さんの前には鼠ケ関港に揚がったトラフグが調理されるのを待っていた
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