老いを明るく描く/展楽座講演

老いを明るく描いた五つのオムニバスストーリーが共感を呼んだ展楽座の公演(二ツ井公民館で)
能代市二ツ井町を拠点に活動している演劇集団・展楽座の第23回公演「けせらせら」が6、7の両日、二ツ井公民館講堂で上演された。故工藤慶悦座長に代わり、座員たち自らで演出を手掛けた初の作品で、「老い」について〝なるようになるさ〟と前向きに描いた五つの物語が展開。会場は笑いや共感に包まれ、座員たちの熱演に大きな拍手が送られた。
展楽座は京浜協同劇団(神奈川県川崎市)出身の工藤座長が、天神小で同級だった照井勉さんら地元の若者と昭和53年に結成した二ツ井演劇研究会が前身(54年に改称)のアマチュア劇団。照井さんが脚本を務め、演劇経験のある座員を中心に、座員全員で舞台を作り上げてきた。
テーマは「老い」。認知症の母親と2組の息子夫婦、伴侶に先立たれた老爺と老婆、父親を在宅で介護する60代夫婦、介護施設で生活する4人の高齢者、そしてこの4組の家族が利用する介護施設「青空」──の五つのオムニバスストーリーで、ユーモアや前向きな気持ちを随所に散りばめた軽快な会話劇が繰り広げられた。
このうち、介護施設で生活する4人の高齢者の物語は、何気ない会話の中から聞き間違いが次々と生じる掛け合いが見どころで、「葉っぱ」が「カッパ」、「カッパ」が「立派」と思いも寄らない方向に話が展開。その都度、4人のうちの1人の高齢男性がまことしやかなエピソードを披露し、会場は終始大きな笑いに包まれた。
また、認知症の母親を囲んだ2組の息子夫婦の会話劇では、「ベッドの手すりから歯ブラシを取って」などつじつまの合わないことを話す母親に戸惑う息子と上手に接する嫁の様子、夜の老人ホームで語り合う老爺と老婆の掛け合いでは、これまで歩んできた互いの人生をたたえ合いながら余生を満喫しようというたくましさが表現された。
このほか、各物語に登場した高齢者がハーモニカや踊り、チアダンス、替え歌など特技を披露する一コマも。五つの物語はいずれも脚本を務めた照井さんの実体験や身の回りで起きた出来事が基になっており、詰め掛けた多くの来場者の共感を誘っていた。
最後は「物忘れ 息切れ 膝の痛み」「そうだ 今日もゆったりと 過ごせればいい」などのフレーズを盛り込んだ「ケセラセラ」の替え歌を会場全員で合唱。舞台と客席が一体となり、幕が閉じると大きな拍手が送られていた。
初日の公演を観覧した二ツ井町下野家後の女性(63)は「4人の会話が伝わらないのを見て将来は自分もそうなるのかなと思ったが、とても面白かった。替え歌は昔歌ったことがあり、懐かしい気持ちになった」、同級生の出演をきっかけに足を運んだという秋田市の男性(46)は「今は目の前のことを乗り越えるのに精いっぱいだが、年を取ることを楽しむことで心の余裕も生まれると思った」と話していた。
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