女子団体追い抜きの野明選手 親子2代で最高峰の舞台へ ミラノ・コルティナ冬季五輪

女子団体追い抜きで活躍が期待される野明花菜選手(中央)。左は長野五輪で滑走する父の弘幸さん、右は同五輪のレース後に手を振る母の三枝さん
ミラノ・コルティナ冬季五輪でメダルが期待されるスピードスケート女子団体追い抜き(チームパシュート)に、下諏訪町出身の野明花菜選手(21)=立大、岡谷南高出=が日本チームの一員として初出場する。父の弘幸さん(51)、母の三枝さん(54)はともにスピードスケートの元五輪選手で、指導者としても愛娘の成長を見守ってきた。両親は親子2代で最高峰の舞台に立てることを喜びながら「スケートが好きでスケートに取り組み、これまで努力を重ねてきた。その力を発揮してほしい」とエールを送る。
弘幸さんは男子1500メートルの元世界記録保持者で、五輪に初出場した1998年長野大会は同種目7位。2002年ソルトレークシティー五輪にも出場した。三枝さん(旧姓・上原)も世界選手権総合3位の実績があり、五輪は92年アルベールビル、長野の2大会で日本代表になった実力者だ。両親の影響で物心ついた頃にはリンクに立っていた野明選手は、2人の妹も競技に取り組むスケート一家で育った。
小学生の時は水泳にも取り組み、スケート一本に絞ったのは5年生の頃。三枝さんが指導者を務めるスケートクラブに所属し、中学3年生まで母から基礎を学んだ。高校は弘幸さんの母校・岡谷南に進学。同校教諭だった父に指導を仰ぎ、現在も教えを受けている。野明選手のオールラウンダーとしての資質や安定感のある滑りは両親譲り。三枝さんは「滑りのシルエットは私に似ているかな」と笑う。
一人暮らしを始めた大学進学後は、弘幸さんとやりとりをしながらトレーニング内容を決め、学業と競技を両立させてきた。弘幸さんの指導者としてのモットーは「自分で考え課題を持って練習に取り組める選手」を育てること。父の教えを実践し、食生活も自ら管理してきた。三枝さんは「1年目から『こうありたい』という目標を立て、それに向かってやってくれた。我が子ながら本当に立派だった」と振り返る。
ただ、五輪までの道のりは平たんではなかった。24年12月のワールドカップ(W杯)北京大会の練習中に左足首を骨折。手術を受け、今もボルトとプレートが入ったままだ。過酷なリハビリ中も心配をかけまいと、努めて明るく振る舞う姿に三枝さんは「本当につらくて見ていられなかった」。そんな大けがを乗り越えて25年3月の国内大会で復帰を果たすと、団体追い抜きメンバーに抜てきされた今季はW杯開幕戦で日本女子の優勝に貢献した。
スケートを通して「本人が目標に向かって頑張り、くじけても立ち上がる、そんなことができるようになっただけで十分。だから五輪に出る姿を見られるのは幸せの一言」と三枝さん。五輪の緊張感や重圧、独特の雰囲気を知る経験者として「100%の力を出し切るのは難しい舞台。結果よりも過程を大事にして、とにかく自分の滑りに集中してほしい」と願う。金メダル奪還を目指す日本チームの新戦力として夢舞台に臨む野明選手。弘幸さんはミラノでレースを見届ける予定だ。
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