
ピノ・ノワールなどを栽培する辰野町小野のブドウ畑
世界に名高いワイン「ロマネ・コンティ」の原料でもあり、多くのワイン愛好家を魅了するワイン用のブドウ品種「ピノ・ノワール」。日本での栽培が難しいとされるが栽培醸造家の沼田実さん(61)は自らブドウ栽培・醸造会社「キリノカ」を設立し、4年前から標高850メートルの長野県辰野町小野の地でピノ・ノワールの栽培を始めた。昨年から収穫が始まり、委託醸造で初のワインも完成。9月中旬ごろにはワイナリーを開業し、自社醸造を開始する。
■2020年から始め3ヘクタールまで拡大
沼田さんは東京都内のホテルでソムリエをしていた20代のときにピノ・ノワールに魅了された。2005年に英国ワイン&スピリッツ協会のワイン資格を取得し、08年にワインコンクール「ジャパンチャレンジ」で最優秀日本人審査員賞を受賞。その後、米国で研修を行い、ニュージーランドの大学で栽培や醸造の技術を学んだ。
帰国後はワインコンサルタント、ワインスクール講師などとして活躍。一方、「日本国内で自ら最高のピノ・ノワールを栽培したい」という夢が芽生え、栽培適地を探し求めて全国各地を回り、長い時を経て小野の地にたどり着いたという。
小野の土地は、仏ブルゴーニュと同じ約1億5000万年前のジュラ紀に形成された海洋性たい積土壌で、銘醸ワイン産地として知られる塩尻市桔梗ケ原と同じ黒ボク土。霧訪山からの斜面が広がる扇状地で、水はけや風の通りが良く、ピノ・ノワールの生育環境に最適な地だという。
ブドウ畑の開墾は2020年から始まり、現在は約3ヘクタールにまで拡大。主にピノ・ノワールを栽培しているが、シャルドネなど白系ブドウも育てている。
■ワイナリーを9月中旬ごろ
直販・試飲コーナーも備えたワイナリーは、JR小野駅から徒歩2~3分の場所に整備中。建物は完成しているが、オリジナルのコンクリートタンク、フランス製の熟成用オーク樽などの設置はこれからで、9月中旬ごろに開業する予定。
ワイナリーでは自家栽培と契約栽培のブドウを合わせて年間約1万5000~2万本を製造する計画。このうちピノ・ノワールワインは6000本ほどを見込んでいる。
昨年から一部で収穫が始まり、委託により約1000本のワインが完成。「収穫されるブドウは高いポテンシャルを秘め、完成したワインは予想以上の出来だった」と沼田さん。「適切な醸造をすれば素晴らしい赤ワインへと変貌する」と話す。
ワイナリー近くにはオーガニックワインの製造も視野に入れ、地域に適したブドウ品種を研究する試験ほ場も整備した。地元のリンゴを使ったシードルの製造も計画するほか、標高約950メートルの小野藤沢地籍の遊休農地を新たなブドウ畑として開墾する計画もあるという。
沼田さんは、高品質で付加価値のあるワインを目指しており、「ブドウ栽培に興味のある地元農家に寄与する自分なりの方法として、土地に合ったブドウを栽培、推奨し、栽培法を伝えていきたい」と話している。
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