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長野日報社

スケート文化継承、危機感 長野県茅野市のセンター存廃

茅野市のスケート文化について語る山岸さん(左)と池上さん

 行財政改革を進める長野県茅野市が市国際スケートセンターの存廃を市行財政審議会に諮問していることについて、市スケート協会長の池上泰司さん(73)と前会長で相談役の山岸文典さん(76)=県スケート連盟理事長=が長野日報の取材に応じた。2人は「地域に根付いたスケート文化を継承するためには、子どもたちが氷上で滑る経験が必要。スケートリンクがなくなれば文化が消えてしまう」と危機感を募らせている。

■明治期にさかのぼる市のスケートの歴史

 茅野市のスケートの歴史は明治期にまでさかのぼる。寒さ厳しく、降雪量が少ない冬の気候はスケートに適していた。水田や湖でスケートが始まり、昭和になると学校の校庭に水を張って凍らせる「校庭リンク」が作られるようになった。

 国際スケートセンターは1989年に完成した人工氷の屋外スケートリンク(パイピングリンク)。3万4000人余の署名とともに提出した建設を求める陳情書が建設に向けた大きな原動力となった。

■10人の五輪選手輩出

 同センターでスケートに触れた子どもたちの中から10人のスケート競技の五輪選手が生まれた。長野五輪以降、7大会連続で五輪選手を輩出し、2018年の平昌五輪では茅野市出身の小平奈緒さんが金メダルを獲得。この功績をたたえ、愛称を「NAO ice OVAL(ナオ・アイス・オーバル)」とした。

 市スケート協会は茅野市の前身である茅野町が1町8カ村の合併に誕生した1955年と同じ年に前身となる茅野町体育協会スケート部が発足し、70年の歴史を持つ。池上さんは「この70年で茅野市出身の五輪選手を延べ27人輩出した。諏訪地方スケート大会は茅野市が26連覇中だ。スケート文化が根付いたまちだからこその選手層の厚さが結果に表れている」と力説する。

■夢と希望与える使命

 市が同センターの存廃を市行財政審議会に諮問した会議の中で市教育委員会が挙げた課題のうち、利用者の減少について山岸さんは「温暖化の影響が指摘されているが、日中に氷が解けて滑れなくなってしまうようなパイピングリンクは国内でも茅野だけ。岐阜や山梨などもっと温かい地域でも滑れているのにもかかわらずだ。こうした状況はもう数年も前から続いている。これでは入場者が減るのも当たり前だ」と指摘した。市教委によると、昨季は80日間の営業期間中、融解や降雨などで計32日、昼間の時間帯または全日、営業を休止した。

 市は同センターの今後の改修費用として6~11億円を見込む。昨年度の運営収支は約4000万円の赤字となっている。山岸さんは「そのまちらしさ、文化を採算で語るのには無理がある。ほかの文化施設は採算で語られているだろうか。スケート文化の承継と子どもたちにスケートを通じて夢と希望を与えることが私たちの使命。本筋をきちんとやることで市民に理解してもらう取り組みをしていく」と語った。

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