能代市の能代製樽、秋田杉製「ジャグ樽」を商品化 インバウンド向けに好評

ジャグ樽を考案した能代製樽の畠専務
酒樽(だる)や木桶(おけ)などを製造・販売する能代市後谷地の「能代製樽」(畠次郎社長)は、酒の注ぎ口を改良した秋田杉の「ジャグ樽」を商品化した。アウトドア用品にも使われる蛇口を酒樽の側面に取り付けた新商品で、伝統と現代の要素を掛け合わせた。大都市圏の飲食店を中心にインバウンド(訪日外国人旅行者)向けの注文が増えており、新たなビジネス開拓を目指している。
同社のジャグ樽は秋田杉の赤身板を使って手作りする。耐水性が強く、防カビ効果があり、従来の酒樽と違い、繰り返し使えるのが特長だ。目安として3~4週間使えるという。
通常の酒樽は、側面に付いた飲み口が脱着式なため、酒を注ぐたびに栓を外して付け直さなければならない。そのため、瓶詰め作業などでは栓を緩めると酒が床にこぼれたり、逆に勢いよく出過ぎたりと調整が難しかった。
同社が開発したジャグ樽は注ぎ口を栓から蛇口に変えることで、樽から酒を出して止める作業を確実に行えるようになり、床こぼれを防ぐことができる。金属部分はステンレス製で、腐食の心配がない。上底樽にも取り付け可能にした。
東京や大阪など大都市圏の飲食店では、急増するインバウンドを取り込もうと、日本独自の文化の中で発展してきた酒樽を売りにするケースが増えている。カウンターなどに酒樽を置いて客に見えるよう酒を注ぐ演出を図るもので、外国人向けに日本酒だけでなくウイスキーなどの洋酒を入れて対応する店もあるという。
畠健男専務(43)がインターネットで瓶詰めの動画を見て、改良の余地があると考え開発に着手した。試作を繰り返す過程でお蔵入りになったものも多いが、「コロナ禍で製品が売れない時期が続き、マーケット的にも従来の酒樽を売るだけでは厳しい。このままではまずいと思い、とにかく試行錯誤してきた」と市場縮小への危機感を開発の動機に変えた。
酒樽業界は職人不足が深刻で、「従来通りの製品作りを続けるだけで精いっぱい」「新商品の開発まで手が回らない」といった声が聞こえる。業界が低迷する中、同社は守勢に回ることなく新たなビジネス展開を模索してきた。
5月の販売開始から名古屋市のバーや福岡市の居酒屋などに納品。これまで主な顧客だった日本酒メーカーを通さず、直接飲食店に売ることも増えているという。
畠専務は「酒樽に入った日本酒はポリフェノールの一種タンニンを含んでおり、刺し身の脂を流す作用もある」とアピールする。
市内で初めて同社のジャグ樽を導入した焼き鳥店「ホッピーハウス能紀(のんき)」(西通町)の渡邊秀和店主(50)は「木の香りがいいと、常連の評判もいい」と笑顔で話す。
畠専務は「都市のインバウンドは体験型の観光を望んでおり、日本の和樽に興味を示している。ジャグ樽の販路拡大に向け積極的に発信していきたい」と話す。
ジャグ樽は受注生産で、一斗、二斗、四斗樽に蛇口を取り付けることができる。価格は一斗樽の1万7千円(税込み)から。
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