「日向屋」(田辺)に大臣賞 鳥獣対策の優良活動

鳥獣被害をはじめ地域課題に取り組む日向屋
和歌山県田辺市上芳養の農業会社「日向屋(ひなたや)」が、農林水産省の本年度の鳥獣対策優良活動表彰で、農林水産大臣賞を受賞した。県内の団体が同表彰を受けるのは初めて。農家自ら会社を立ち上げ、狩猟活動を展開。地元の施設やレストランとも協力し、捕獲した鳥獣の食肉(ジビエ)の活用など地域課題の解決に貢献していることが評価された。17日に農水省本館(東京都)で表彰式がある。
同省は、鳥獣対策の推進を図るため、2009年度から鳥獣被害防止の取り組みで、16年度からジビエの活用の取り組みで、地域への貢献が顕著な個人や団体を表彰している。
今回、全国から1個人と1団体が農林水産大臣賞を、1個人と5団体が農村振興局長賞を受賞した。部門別は被害防止4、捕獲鳥獣利活用4。
日向屋は、若手の農家らが16年に狩猟チームを結成したことを機に、18年に会社を設立し、鳥獣害対策や耕作放棄地解消に向けた地域活性化の事業を展開している。
地域内のジビエ解体処理施設やジビエ料理店との連携で、イノシシやシカの捕獲から処理・加工、調理、販売の連続した体制を構築。捕獲した個体をジビエとして地域資源に、施設を観光や体験資源にと、地域を巻き込んだ取り組みに発展させた。
特にジビエの安定供給を図るため、地域内の農家によるわな捕獲を支援し、地域外の捕獲協力農家との橋渡しもしている。21年度にジビエなどとして活用したのは600匹という。
また、衛生管理ガイドラインの遵守などに取り組む施設に与えられる「わかやまジビエ処理施設衛生管理認証」を取得し、個体の引き取りに関するガイドラインを作成してジビエの品質維持に努めている。
同社の岡本和宜代表(44)は「捕獲してから食べて利用するという循環の取り組みを評価されたのがうれしい」と喜ぶ。
さらに「農業を続ける上で鳥獣害は切り離せない課題。自分たちの事例が対策の一つのモデルとして全国の参考になってくれたらいい。今後は捕獲した個体の未利用部分を堆肥として活用できないかを、目標にしていきたい」と語った。

耕作放棄地だった土地を再生し、協力して梅の苗木を植える日向屋のメンバー(和歌山県田辺市上芳養で)
■耕作放棄地も再生
耕作放棄地は獣のすみかとなり、周辺の畑にも獣害を広げる要因となる。日向屋では、長年、耕作放棄地になっていた土地を借り受け、梅園地に再生する取り組みをしている。
6日も日向屋のメンバーらが同市上芳養の約30アールに南高や新しい品種「NK14」の苗木を植えた。
この畑では今月から同社社員となった美浜町の中西泰裕さん(38)が、仲間に教えてもらいながら栽培に取り組む。中西さんは、これまで梅加工関係の仕事をしていて、将来的には農家になることを視野に入れているといい「分からないことも多く、仲間の協力があってこそ取り組める。良いものを作っていきたい」と話した。
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