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「胸を射通されるよう」 13歳 壕の中で空襲におびえた記憶 奄美市名瀬

焼け野原が広がる終戦直前の鹿児島県奄美大島の名瀬市街地=1945年7月(「奄美戦時下米軍航空写真集」から)

 1944(昭和19)年10月10日、鹿児島県奄美大島の名瀬町(現・奄美市)の名瀬湾上空に突如、機銃掃射の爆音が鳴り響いた。奄美、沖縄を襲った「10・10空襲」だ。当時、県立奄美高等女学校で授業を受けていた同市名瀬の西シガ子さん(90)=旧姓・榊=は急いで防空壕に駆け込んだ。「米軍機から放たれる音はまるで胸を射通されるようだった。終わったとき、『ハゲー、私は生きていた』って」。壕の中まで響くごう音は、わずか13歳の少女に強烈な恐怖心を植え付けた。今から77年前、「あの日」の記憶のページをめくった。

 西さんは龍郷町浦で生まれ、名瀬で育った。44年4月、奄美高女に入学。その年の10月に初の空襲が起きた。

チョウチンバナの葉は戦時中、せっけんに代用した。咲き誇る花を見詰めながら当時を思う西シガ子さん=12日、鹿児島県奄美市名瀬

 「授業の始まりで机に座っていたら誰かが『避難しろ!』と叫んだ。あれはそうね、午前中だったはず。離島出身の同級生が弁当だけ持ち出して避難したから。生きるためには勉強道具より食べ物を確保することが大事。偉いと思った」

 生徒も住民も山裾の防空壕を目指し必死に走った。「米機は山羊島沖に座礁した極洋丸(捕鯨母船)めがけて撃ったと聞いている。低空飛行しながら連発でダダダダダと。胸を射通されるような大きな音だった」と表情をこわばらせる。身を震わせながら銃撃がやむのを待つしかなかった。

 45年の春を迎えると空襲はいよいよ激化し、執拗(しつよう)な攻撃が続いた。改訂名瀬市誌(1巻歴史編)によると、3~8月は1日平均約60機が襲来したという。4月20日には、わずか1日で名瀬市街地の約90%が消失する大火に見舞われた。

 そのころ西さんの両親は龍郷への避難を決断する。一家は乳飲み子を含む子ども6人と父母。目的地までは山羊島近くの海岸線沿いを通らなければいけない。

 西さんは爆撃された極洋丸の火の粉をかいくぐり、妹の手を必死に引っ張った。「夜中だったと思う。パチパチと火を飛ばしているのよ。命懸けよ」

 物資不足も深刻だった。やせ細ったサツマイモやオニユリの根を食べて空腹を満たした。チョウチンバナ(ハイビスカス)の葉をもんでせっけん替わりにした。

 そして迎えた8月15日。ラジオは無かったので、終戦を当日知ったのかどうかも記憶にない。ただ覚えているのは、安堵(あんど)感と同時に新たな恐怖心が生まれたこと。町中では「米兵が来るから(弱い立場の)女、子どもは避難しろ」と流言が飛び交った。

 後にデマと分かったが、安心したのもつかの間。46年2月2日の2・2宣言で奄美群島は本土と行政分離されてしまう。

 全国で戦後復興が進む一方、米軍統治下に置かれた奄美では、無血の民族運動ともいわれる日本復帰運動が熱を帯びていく。島民が望む本当の「戦後」が訪れるまで、それから約8年間待たなければいけなかった。

西さんが出版した「うりずん」

     ◇  西さんはこのほど、戦時中の奄美や米軍政下の日本復帰運動などを振り返る冊子「うりずん」を自費出版した。地元FMラジオ出演時の内容を加筆修正したものが中心。自身が主宰してきた「奄美女性サークルゆらおう会」から、「奄美文化サークルゆらおう会」への改称記念の意も込めた。

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