生育良いが親魚の確保最優先 諏訪湖のワカサギ試し捕り

水揚げされ、出荷されたワカサギ。成長は良好で漁獲量も良かったが、諏訪湖漁協側は慎重な言い回しだった
諏訪湖漁業協同組合(武居薫組合長)は9日、盆前の需要期に合わせ、諏訪湖のワカサギ漁を1時間限定で解禁した。漁師11人が出漁して投網を打ち、31キロを水揚げした。体重は2グラム前後と昨年同期の約3倍。脂ののりも良かった。ただ、生育良好の要因は今春の採卵事業の不調で魚卵放流量が例年を大きく下回り、1匹当たりの餌の量が増えたため。武居組合長は「来春の採卵に向け、親魚の確保が最優先」とし、生育の良さにも慎重な言い回しだった。
ワカサギ漁は9月初旬に解禁されるが、夏の需要期であるお舟祭りとお盆の直前には「試し捕り」として、投網漁を限定的に解禁している。お舟祭り前が1日、お盆前が2日の計3日間が通例だが、今春の放流卵量は他県からの購入分を含め、約1・2億粒で昨年の約3分の1、一昨年の約7分の1だったことから、お舟祭り前の解禁を見送り、9日も操業時間を1時間短縮した。
水揚げされたワカサギの体長も6センチほどで昨年より1センチほど大きく、ふっくらとした印象だった。市場に持ち込んだ漁師たちは「たった1時間の操業時間の割にはそれなりに捕れた。おいしそうなワカサギだが、目方(漁獲量)のわりに数はいないね」などと話していた。
武居組合長は「漁獲量は思ったより多く、大きさもそろっている。このワカサギを来春の採卵の時期までいかに守っていくかが重要。県には石積み護岸やテトラポッドの設置など魚が魚食性鳥類から逃げ込める環境を湖内につくってもらわないと、このままでは手遅れになりかねない。漁規制や追い払いなど漁協ができる対策では限界がある」と話していた。
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