タイキシャトル 日高で悠々余生
フランスのジャック・ル・マロワ賞(G1)をはじめ、国内外のG1レースで5勝を挙げた名馬「タイキシャトル」(27歳、セン馬、栗毛)が、日高管内新冠町の引退馬牧場「ノーザンレイク」で穏やかに余生を送っている。大樹町内の牧場で育ち、勝利時には町全体が盛り上がった。今は全国のファンらが“里親”として支援している。

名馬ゼンノロブロイなどを手掛けた川越さんは馬の手入れの名手。優しく見守られながら、穏やかな日々を送るタイキシャトル
タイキシャトルは1994年米国生まれ。かつて大樹町にあった「大樹ファーム」で育ち、97年にデビュー。安田記念、マイルチャンピオンシップ(2回)、スプリンターズステークスを勝ち、13戦11勝(2着1回、3着1回)の戦績を残し、98年度にはJRA(日本中央競馬会)年度代表馬に選ばれている。
99年の引退後は2017年まで種牡馬として日高管内の新ひだか町と浦河町を行き来した。その後、NPO法人引退馬協会(千葉)の所有となり、会員が“里親”として支援する「フォスターホース」としてベルサイユリゾートファーム(同管内日高町)で2年半を過ごした。
6月中旬、ノーザンレイクへ。共に移動した名馬メイショウドトウ(25歳)など5頭と日々を送り、馬の寿命は28歳程度と言われる中、食欲旺盛で体調も良好。「尾花栗毛」と呼ばれるたてがみや尻尾が金色がかった姿は今も美しい。
いたずら好き 世話焼きの面も
同牧場の経営者で世話をする川越靖幸さん(56)はJRAの元厩務(きゅうむ)員で、当時、タイキシャトルの隣の厩舎で仕事をしていたという。現役当時の印象は「とにかく走る馬」。性格も穏やかではなく、「仁王立ちしていることもあった」と振り返る。
昔は決まった人にしか世話をさせないこともあったが、現在は年のせいか穏やかに。いたずら精神は旺盛で、手入れしていると素知らぬ顔で人の足をわざと踏んでくることも。引退馬協会の加藤めぐみさんは「頭がいいから人も見てるし、その分、無駄なけんかもしない」と話す。
“親切なおじいちゃん”の一面も。新たな牝馬が牧場に仲間入りした際、他の牝馬となじめるかどうか心配しているように見守っていたという。牧場の看板猫「メト」との関係も良好で、メトの散歩をじっと眺める姿も。年は取ったが、「今も前に出る力があり、いい歩き方をする。持って生まれたもの」(川越さん)という。
産駒にはウインクリューガー、メイショウボーラー、サマーウインドなど安定した成績を残す馬を輩出してきた。世話をする川越さん、パートナーで競馬ライターの佐々木祥恵さん(55)の2人、そしてファンに支えられ、川越さんは「長く人間のために頑張ってきた。健康でのんびり過ごしてほしい」と優しく見詰めている。
◇
現在はコロナ禍で見学は受け付けていない。タイキシャトルら馬の姿は牧場のツイッターやフェイスブックで発信している。
ゲーム「ウマ娘」で人気再燃
タイキシャトルが、人気ゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」に登場し、脚光を浴びている。
同ゲームはスマートフォン向けで、オグリキャップやサイレンススズカといった実在した競走馬を美少女にした育成シミュレーションゲーム。プレイヤーはトレーナーとして、彼女たち“ウマ娘”を育成しながらレースでの勝利を目指していく。2018年と今年にテレビアニメが放送され、モバイルゲームの4月売り上げ統計で世界第3位に入るなど大ヒットしている。
ウマ娘でのタイキシャトルの設定は、パワフルで人懐こいカウガール。誰とでも仲良くしたがる一方、極度のさみしがり屋という性格だ。
名付け親の伏見悦夫前大樹町長は「スペースシャトルと、スピードがあるバドミントンの羽根(シャトル)をかけて命名した」と振り返る。近年は再会できていないが、「一番思い入れのある馬で、元気でいるかなといつも頭から離れない」と語る。ゲームについては初めて聞いたと言い、「若い人に人気があるのはいいこと」と話している。
十勝関連ではG1で6勝し、十勝軽種馬農協種馬所(幕別町)で余生を送るアグネスデジタルもキャラクターになっている。コロナ禍のため、現在は見学できない。

ウマ娘のタイキシャトル(Cygames提供)
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