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水面に漂うサガリバナ 神秘の森に幻想空間 西表島

水面に浮き下流へ流れるサガリバナの花。西表島の夏の風物詩=9日午前、仲良川

 【西表】夜に咲き朝には散ってしまうことから〝幻の一夜花〟とも呼ばれるサガリバナ(別名・さわふじ)が西表島の河川で幻想的な空間を作りだしている。早朝、マングローブで覆われた川をカヌーで上ると「ポトッ」「ポトリ」と花が着水する音が聞こえる。柔らかな陽が差し込む水面に無数の花が浮遊し、見る者を魅了する。

 9日、大潮に合わせて島の西側に位置する仲良川の上流へカヌーで向かった。薄明かりのなか、夜明けを告げるアカショウビンやサンコウチョウが協奏曲のように鳴き声を奏でる。

 支流の奥に進むと独特の甘い香りが漂う。川沿いに自生するサガリバナの群落がツアー客を出迎えてくれた。水面ぎりぎりまで垂れ下がった長さ60㌢ほどの総状花序。周囲が明るくなるにつれて白や淡い桃色の花がくっきりと浮かび上がる。

 「ポトッ」。はっきりと聞こえる着水音。時間は満潮から干潮に変わり、汽水の上を浮かぶ花が下流へ次々と流れていく様は天の川を連想させる。

 サガリバナの花言葉は「幸福が訪れる」。息をのむほど美しい光景は6月から7月にかけ数週間しか見ることができない。

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