コロナ禍で教育旅行受け入れ増 和歌山県みなべ町

白干し梅が入った容器に調味液を入れる生徒ら(16日、和歌山県みなべ町山内で)
修学旅行など教育旅行で和歌山県みなべ町を訪れる学校からの予約が、昨年度に続き本年度も多くなっている。新型コロナウイルス感染症の拡大により、行き先を近場や感染者の少ない紀南地方に変更しているためで、地元では「若い世代に魅力を感じてもらういい機会」と歓迎している。定着に向けて受け入れの充実も図りたいという。
みなべ町教育旅行誘致委員会(岩本智良委員長)によると本年度、町内で梅干し作りなどを体験したり宿泊したりする学校数は、3月末までの予約数で114件。実際には4月初めから6月中旬までを中心に延期や中止が出ているが、昨年度中に実際に訪れた116件とほぼ同数で、本年度も新型コロナで行き先を変更するケースが続いている。2019年度は25件だった。
委員会が把握していない体験や宿泊もある。施設によっては、本年度の予約数が昨年度の実績を大幅に上回っているという。ほとんどが近畿圏や三重県、愛知県の小中学校で、高校もある。県内の学校は少ない。
町内の宿泊施設を利用するだけの学校もあるが、体験を目的に訪れるケースが多い。
主な体験メニューは、町で誕生した人気の梅の品種「南高」を使った梅干しや梅ジュース作り、梅染めの体験のほか、炭のブランド「紀州備長炭」を使った風鈴作り、まき割り、ピザ焼き体験など。いずれも体験を楽しむだけでなく、世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」の魅力にも触れている。
岩本委員長は「県外の学校が多いので、自然が豊かな和歌山をアピールできる。みなべ町は梅や紀州備長炭の産地であり、地域の環境保全にもつながっているこれらの産業についても学んでもらえればと思う」と話している。また、今年2月に御坊・日高の各市町や観光協会、商工会議所、商工会などが「御坊日高教育旅行誘致協議会」を設立し、広域で誘致活動をしていることについて「みなべ町も民泊を増やすなどして受け入れを充実させたい。紀南のほかの地域との連携もできればと思う」と話す。
梅干しや風鈴作り体験
16日には三重県四日市市にある中学校の3年生68人と引率教諭ら7人が、修学旅行で訪問。3班に分かれ、梅干しや梅ジュース、備長炭の風鈴作りを体験した。
一昨年までは関東だったが、昨年は広島と兵庫県、今年は和歌山県と三重県の伊勢志摩に変更した。事前調査で訪れた担当教諭が梅に魅力を感じ、訪問地に選んだという。
梅干し作り体験の班は、同町山内の梅加工会社「ウメタ」を訪問。南高梅を紹介する展示コーナーを見たり、担当者から説明を聞いたりした後、1次加工の「白干し梅」に調味液を使って味付けする体験をした。
生徒らは、思い思いに調味液をブレンドして好みの味に仕上げ、容器に白干し梅と一緒に入れた。2週間ほど置けば梅干しの調味漬けになるという。
男子生徒の一人は「梅干しが大好きなので、楽しみだった。酸っぱい調味液を多くした。どんな味になるのか楽しみ」と話していた。
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