三方一両得 帯広市の3施設がタッグ

帯広市内のおびひろ動物園(緑ケ丘2)とみどりと花のセンター(同)、帯広の森・はぐくーむ(南町南9線)は、市内の広大な都市公園である緑ケ丘公園や帯広の森に生えている草木を動物園で飼育する動物の餌にしながら、森や公園の自然を育てる共同事業を始めた。複数の施設が連携して木の間伐や草花の管理に当たる珍しい取り組みで、公園の利活用に力を入れる。
動物園とはぐくーむは昨年、市民らが木の間伐に取り組む「森づくりの集い」で切った木を動物の餌にするなど、共同事業に先駆けた取り組みを行った。今年からみどりと花のセンターが加わり、3施設で事業を展開する計画。6~10月に、動物園の職員や公園管理の委託業者らが、対象となる場所で草木を採取する。はぐくーむは動物園に間伐を許可するほか、「森づくりの集い」で伐採した枝を提供し、みどりと花のセンターは緑ケ丘公園の草地への肥料散布や管理を行う。
帯広の森を管理するはぐくーむ(指定管理者・ケイセイ造景共同企業体)は「もともと十勝にあった、さまざまな木が生い茂る森をつくりたい」との思いで森の整備を進めてきた。しかし、森の中で特に増えやすいヤナギ科の落葉樹「ヤマナラシ」が、他の木の生育を邪魔するなどの課題があり、間伐する。今後は共同事業で、主に帯広の森の飛行場伐採跡地など約0.5ヘクタールに生育するヤマナラシを動物園の職員が間伐し、シラカバやミズナラなど別の種が生育する環境を整える。
みどりと花のセンター(指定管理者・造景)は「市民が緑に親しむ機会をつくりたい」と、緑ケ丘公園内の多目的広場北側に草花が自由に生え、利用者がシロツメクサで花冠をつくるなど草花遊びを楽しめる場(約0.3ヘクタール)を作った。「大草原」の看板が目印。同センターが草地を育て、伸び切った青草を動物園の委託業者が採取することで、管理の手間やコストの削減につなげる狙いがある。
動物園では、アメリカバイソンなど青草を食べる草食動物や、枝を食べるアメリカビーバーやニホンザルなどに採取した草木を与える。これまでも職員が枝を採取していたが、枝材が豊富な帯広の森を積極的に活用する。草食動物には従来、干し草を購入して与えていた。今後は夏に青草が採れ次第、水分が多くて軟らかく、嗜好(しこう)性の高い青草を動物に与え、餌代の削減にもつなげる。
共同事業の利点について、担当するおびひろ動物園の中山大志さんは「自然を育てながら、おいしい青草や枝を低コストで動物に与えることができる」と話す。みどりと花のセンターの大熊勲副センター長は「動物園と公園で、互いにメリットのある事業になった」、はぐくーむの日月(たちもり)伸施設長は「森を育てるためにも積極的に事業を進めたい」と話している。
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