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出羽三山神社 「春の峰」復活

農と深く関わる「春の峰」を復活させ、各農家らに頒布する厄よけの護符「牛玉宝印」。稲霊をうつしたもみが入れられ、ネコヤナギの枝に付けた状態で配る

 出羽三山神社(鶴岡市羽黒町手向、宮野直生宮司)は1月5日、かつて四季の峰として春夏秋冬であったとされる修行のうち、農耕に深く関わる「春の峰」を復活させる。「冬の峰」として現在も受け継がれる2人の松聖(まつひじり)(山伏の最高位)が99日間にわたって修行を積む「松例祭」(国指定重要無形民俗文化財)に続く新春の行事で、修行で松聖が五穀に祈りを込めた稲霊(いなだま)を土檀那(どだんな)(地元の信者)に配る前にもみに稲霊をうつす儀式である。うつしたもみは松聖経験者「既修松聖」らが御判立(ごはんだ)てといって、希望する檀家(だんか)の農家らに厄よけの護符「牛玉宝印(ごおうほういん)」に入れ、頒布する。

 古来、稲は神が稲妻となって種子に宿り、成長して実りを迎えると考えられた。自然と信仰が深く結び付いてきた出羽三山信仰の四季の修行でも稲作と関わる部分が多く、山伏修行「秋の峰」では稲の結実期である8月31日夜に「八朔祭」で護摩をたき五穀豊穣(ほうじょう)を祈るほか、「冬の峰」である松例祭は五穀が入った祭具「興屋聖(こうやひじり)」に穀霊が宿るように松聖が精進する。明治の神仏分離によって春の峰が廃絶するまでは、松例祭で2人の松聖が験競べし勝った方の五穀が春の峰で使われたという。

 また、土檀那に頒布する御判立ては神社や宿坊、寺など個々に残り昭和40年代まで行われてきたが、時代とともに廃れつつあった。今回の春の峰の復活は、既修松聖や祝部(はふり)らの間で昨年から声が上がり、同神社が復活。1月5日に蜂子神社で勤行を行い、もみに稲霊がうつるように祈る。

 稲霊のついたもみは、同神社所有の版木で刷った牛玉宝印の護符を独特の形で折った中に入れ、ネコヤナギの枝に付けた状態で頒布する。ネコヤナギは神が宿る霊木とされ、山の神は春になると田の神となって山を下り、三つまたの枝に腰を掛けて苗代を守るという古くからの信仰から三つまた以上が良いとされる。牛玉宝印は各農家で種もみと一緒に祭られ、春になると稲霊が田全体に行き渡り豊かな恵みをもたらすように苗代の水口に立てられる。

 同神社では「農を基本とする地域で、かつては信仰とともにあったことをきちんと継承していくきっかけにしたい。食の都庄内、鶴岡のユネスコ食文化創造都市として食が注目される中で、神に守られた地域、土地が持つ信仰性といった付加価値にもつながるのでは」と話している。  牛玉宝印についての問い合わせは同神社=電0235(62)2355=へ。

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