能代港湾区域にSEP船 洋上風車基礎工事始まる
洋上風車を据え付けるSEP船「ザラタン号」が能代港湾区域に姿を見せた。船体を柱で持ち上げて、基礎杭の打設工事に備える(能代火力発電所南側の砂浜から)
能代市の能代港港湾区域で、洋上風力発電の風車の土台を海底に据え付ける「着床式」の基礎工事が本格的に始まる。海上で建設工事を行う専用の「SEP(Self─Elevating Platform)船」が先月30日から能代火力発電所近くに停泊しており、天候をにらみながら基礎杭(くい)を海底に打ち込むタイミングを見計らっている。欧州から運ばれた大型部材を置いてある秋田港と往復して行う計画で、能代港の岸壁には寄港しない。タワーやブレード(羽根)など風車本体の据え付けは来年4〜6月を予定。洋上風力の大規模な商用運転としては国内初となる。
丸紅などでつくる特別目的会社「秋田洋上風力発電」(AOW、秋田市)が能代港に出力4200㌗の着床式を20基(8万4千㌗)、秋田港に13基の計33基(14万㌗)建設し、来年末までの運転開始を目指す。総事業費は約1千億円。作った電力は、再エネの固定価格買取制度を活用し1㌗時36円で東北電力ネットワークに20年間売電する。風車はデンマークの洋上風力大手「MHIヴェスタスオフショアウインド」製を採用。
能代港湾区域では、能代火力発電所の裏手と北防波堤の外海側に10基ずつ設置する。風車の高さは海面から約150㍍、ブレードの直径は117㍍。基礎部分は、海底に打ち込むモノパイル(杭)が全長40〜70㍍、杭と本体とつなぐトランジションピースは全長30㍍。
SEP船は丸紅や商船三井が出資するSEP船大手の英シージャックス・インターナショナルの日本法人が保有する大型クレーン付きの船で、全長109㍍、全幅41㍍。船名は空想上の巨大なウミガメを意味する「ザラタン」号。
数百㌧に及ぶ2基分の基礎部材を秋田港で積んで、約60㌔離れた能代港まで最大10時間ほどかけて航行。能代港では実作業に2日ほどかけて2基分設置してから秋田港に戻り、2千平方㍍あるデッキに部材を積み込んで再び能代港へ向かう作業を繰り返し行う。
英国人ら数カ国籍の船員約50人を乗せたザラタン号は30日早朝、能代火力発電所西南の港湾区域に到着。4本の柱を海底に据えて固定し、船体を波の影響を受けない高さまで持ち上げて施工する準備を整えた。
船に付いた大型クレーンを使ってモノパイルを打設し、その上から黄色のトランジションピースを設置する作業だが、風や波が安定せず、先月30日、1日と2日続けて作業を中止。そのまま停泊し、開始のタイミングをうかがっている。国内洋上風力の成否を占う試金石ともなるプロジェクトとあって、1本目の杭打ちは特段の慎重を期して行うという。
基礎杭の打設工事は8月に終え、風車本体の据え付けは来年4月に開始予定。AOWの岡垣啓司社長は「ザラタン号は欧州では多数の実績があるが、日本では初の基礎据え付けとなる。緊張感を持って安全第一に進めたい」と話した。
AOWは平成28年4月に設立し、丸紅を筆頭株主に大林組、エコ・パワー、秋田銀行、大森建設など13社が出資。港湾管理者の県が26年度に港湾区域で洋上風力を行う事業者を公募し丸紅が選ばれた。丸紅は27年4月に事業化調査を開始し、環境影響評価を経て昨年2月に着工。能代港は洋上風力の資機材の保管や積み込みの拠点となる国指定の「基地港湾」となっている。国は現在風車の重量物に耐えられるよう埠頭の機能強化工事を行っており、港湾はにぎわいを増しそうだ。
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