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紀伊民報社

水力発電所復活へ 売電余剰金で地域活動支援

小水力発電所が建設される右会津川。左岸に放水路が整備され、発電機が設置される(和歌山県田辺市上秋津で)

 和歌山県田辺市上秋津で、水力発電所を復活させ、魅力ある地域づくりにつなげようと、地元の住民らでつくる法人が、右会津川に小水力発電所を建設している。地域資源を生かした自然と暮らしの循環地域を目指す取り組みで、収益は地域づくりに役立てる。観光資源としても期待がかかる。

 地元の一般社団法人「ふるさと未来への挑戦」が、景勝地・奇絶峡近くに大正期から2004年まであった水力発電所を復活させようと計画。2年前から勉強会を開いたり、各地の小水力発電所を見て回ったりして研究。その結果、場所を下流に変え、発電規模では以前の6分の1となる発電所を造ることにした。建設工事は3月下旬にスタート、7月からの発電を目指す。
 建設場所は、右会津川の農業用水の取水ぜきがある地点。川上神社近くの左岸で、用水路に流れきらない水を利用して発電する。発電機はフランス製の2基で、最大出力が約20キロワットあり、発電力は一般家庭30戸分の使用量に相当する。総事業費は約2千万円で、うち約75%は銀行からの融資。
 電気は関西電力に買い取ってもらう。最初の20年間は1キロワット当たり34円(税別)。借金の返済は長期に分け、売電による収入を充て、剰余金を地区に還元したいという。
 上秋津は温州ミカンや晩柑、梅の栽培が盛んな農村地区。1999年に農家らが農産物直売所「きてら」を開き、2008年には住民の出資で設立した農業法人「秋津野」が都市と農村との交流を目的とした体験型施設「秋津野ガルテン」を開設。19年には地域農業の振興を目的に農業法人「秋津野ゆい」を設立した。地区内にウオーキングコース「熊野早駈道」を設定したり、インバウンド(訪日外国人客)の誘致をしたりするほか、ICT(情報通信技術)環境を整えワーケーションを誘致するなど、交流人口の発掘も目指している。
 「ふるさと未来への挑戦」はそれらの地域づくりを支援する法人。代表の原和男さん(80)は「上秋津では古くから住民たちが地域づくりを続けている。新たな取り組みとして地域資源である水を生かし、今求められている自然エネルギーの復活に取り組む。ささやかな剰余金を使って地域づくりの活動を支援していきたい」と話す。吉野熊野国立公園の田辺エリアの見どころでもある奇絶峡や高尾山、龍神山とともに観光資源としてもアピールしたいという。

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