苫東小の旧校舎ビオトープ閉鎖へ、 「自然学ぶ場」惜しむ声、新校舎で記録展示
苫小牧東小の旧校舎(苫小牧市旭町3)の中庭にあったビオトープ(生物の生息空間)が、7月からの校舎解体に伴い閉鎖される。100種類を超える生き物が生息する、市内の小学校では唯一のビオトープ。昨年8月に移転した新校舎(旭町1)で記録掲示が行われており、児童たちからも「寂しい」「自然や生物について学べる場所だった」と惜しむ声が上がる。
昼休みにビオトープを観察する子どもたち=2014年
同校は2004年、環境への興味や関心を高めてもらおうと「まちのなかの勇払原野」を合言葉に、ビオトープ(540平方メートル)の整備を開始した。
湧き水を活用した池にはウグイやドジョウ、ヨコエビが泳ぎ、エゾタンポポ、ハスカップなど多数の植物が生息。14年には全国学校・園庭ビオトープコンクールで、日本生態系協会賞を受賞した。
校舎の老朽化などで学校の移転が決まった際は、地域から存続を求める声も上がったが湧き水を使っているため、移転は難しく断念。トミヨやギンブナなど一部の魚は、新校舎の水槽で飼育を続けている。
新校舎では、これまでに発行してきたビオトープの四季折々の草花、生物の様子を伝える通信「ビオトープだより」や写真を3月から掲示。河毛幸至教頭(49)は「1年生たちにも、学校の歴史を知ってもらいたい」と話す。
6年生の嶋岡優希斗君(11)は「ビオトープで見つけた虫の名前を本で調べたこともある。好きな場所だった」と熱心に掲示物を見詰めていた。疋田こころさん(11)も「池に手を入れて、エビを触った。手が汚れても楽しかった」と懐かしむ。
旧校舎は7月から来年2月ごろにかけて解体され、跡地は26年に利用開始予定の新複合施設「市民ホール(仮称)」の用地となる。市は、ビオトープの水源や既存の街路樹など緑地を生かした屋外空間「オープンスペース」の整備を建設事業者に発注する方針だ。
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