ドラマ「北の国から」愛犬の調教師立花さん 田中邦衛さんしのぶ
テレビドラマ「北の国から」シリーズの「’92巣立ち」と「’95秘密」で、故田中邦衛さん演じる主人公・黒板五郎の愛犬アキナの調教を担当した苫小牧市見山町の立花栄治さん(64)が、当時の撮影現場の苦労や田中さんの思い出を語った。「田中さんは撮影の空き時間にアキナと散歩しては、気さくにまちの人たちと話していた」と懐かしんだ。

立花さんが撮影した故田中邦衛さんと初代アキナ

「巣立ち」の撮影は1991年に行われ、夏場のシーンは調教せずに撮影していた。まだこどもの柴犬だったアキナは現場を自由に駆け回り、頭を悩ませた美術スタッフが、冬の撮影に向け調教担当者を探すことにした。
シェパード犬の訓練大会で日本一に輝くなど、ハイレベルな訓練所として全国的に有名だった苫小牧警察犬訓練所(市内糸井)に一報が入り、同訓練所に勤務し、日本一に輝いたときのメンバーだった立花さんに白羽の矢が立った。
立花さんは調教もさることながら、「撮影がとにかく大変だった」と振り返る。出番は急に告げられるといい、監督の意に沿うようアキナを右へ左へ走らせるため、餌を使ったり、カメラに隠れて呼んだり、必死に工夫を凝らした。
加えて舞台となった富良野市の夜は氷点下20度まで冷え込むのが当たり前。猛吹雪の中を走るシーンでは、アキナの足が思うように動かず、時間をかけて何度も走らせた。ようやくOKが出た時、アキナは凍えながらヒイヒイ鳴いていたという。「あまりにかわいそうで、撮影終了後に思い切り抱き締めた」と懐かしむ。
「実はアキナは2頭いたんです」と、立花さんは舞台裏を明かした。「巣立ち」に出演したアキナは撮影後、作中で故地井武男さんが社長を演じた「中畑木材」のモデル・麓郷木材工業に引き取られた。「秘密」の2代目アキナは、立花さんが子犬の頃から育てながらしつけたという。
3月24日に老衰のため88歳で亡くなった田中さん。立花さんは「心のどこかで、続編を期待していた。それができなくなってしまったことがものすごく寂しい」と声を震わせる。アキナを連れ、住民に声を掛けて歩く田中さんは「しゃべりながら、北海道弁独特のイントネーションを学んでいたのだと思う」と当時をしのんだ。
「北の国から」シリーズを、自身の人生と重ねながらずっと見ていたという立花さん。「倉本聰さんが描いた五郎の生きざまは『自分のできることで生き抜くしかない』ということを教えてくれた。質素でも、皆が心温かく生きられたら」と言葉を紡いだ。
関連記事
断水、崩土…各地で被害 2日の大雨で和歌山県南部
梅雨前線の影響で和歌山県内は2日、大雨に見舞われ、各地で被害が発生した。田辺市上秋津では全域の1280戸で断水。みなべ町では民家裏の梅畑が崩れた。通行止めになった道路があったほか、交通機関には...
101歳の編田さん 町民スポーツ賞 道マスターズ選手権2種目で優勝 安平
安平町早来大町在住の編田久乃さん(101)が、町から町民スポーツ賞を受けた。昨年の北海道マスターズ陸上競技選手権大会の「100~104歳クラス」において、2種目で優勝を果たした栄誉をたたえたもので...
朝市活況、鮮魚ずらり 県漁協宇部岬支店【宇部】
魚食普及へ新企画、タイやチヌ割安販売 捕れたての鮮魚を召し上がれと、県漁協宇部岬支店青壮年部(上村謙太部長)の朝市が3日、同支店前で開かれた。マダイやコウイカ、ブトエビなどが割安で販売され、...
遠隔診療と地域交流実証実験 酒田市が山大、公益大、NTT東日本と協定 活性..
酒田市は2日、山形大学(山形市、玉手英利学長)、東北公益文科大学(酒田市、神田直弥学長)、NTT東日本(本社・東京都、澁谷直樹社長)と「庄内地域における遠隔診療と地域コミュニティ形成に関する実証実...