方言劇、迫真の演技で観衆魅了 町民創作「ヒーヌムンの生まれた海」上演 知名町

多くの来場者の感動を呼んだ町民創作方言劇「ヒーヌムンの生まれた海」=23日、鹿児島県知名町のおきえらぶ文化ホールあしびの郷・ちな
鹿児島県沖永良部島知名町の町民創作方言劇「ヒーヌムンの生まれた海」(町教育委員会主催)が23日、同町のおきえらぶ文化ホールあしびの郷・ちなで上演された。和泊、知名両町の小学2年生~70代総勢39人が出演し、戦中戦後の沖永良部島を描く物語を熱演。観客を感動の渦に巻き込んだ。
同方言劇は、あしびの郷・ちな開館20周年を記念した町自主文化事業として2年前から企画し、準備を進めてきた。原作は神川こづえさん(田皆中非常勤講師)、脚本・演出は、劇作家の金田一央紀さんが担当。美術製作、音響、方言指導などで33の団体、個人が公演を支えた。
舞台は太平洋戦争末期、島の童の木(わらびぬひー)と呼ばれる大きなガジュマルの下に住む主人公の少年マサが、負傷した米兵を助けたことをきっかけに始まる。マサが戦中戦後、さまざまな出来事や出会いを経験し、成長していく姿を描いた。
劇のせりふはほぼ沖永良部島方言で、舞台横の壁に標準語字幕を投映した。せりふに歌や踊りを合わせたミュージカル形式で、出演者は約2時間、流ちょうなせりふ回しと迫真の演技で観客を魅了した。
出演者は公募で決定。当初はほとんどの出演者が方言を知らない、あるいは話し慣れておらず、昨年10月から約4カ月余りかけて、方言練習と演技の稽古を重ねてきた。上演後、金田一さんは「100パーセント島の皆さんが関わったこの芝居は、島の宝になる」と出演者、スタッフの努力をたたえた。
昼と夜の2回公演には計435人が来場した。鑑賞した町内の60代女性は「難しい方言を上手に話されていて、出演者の皆さんはどれだけ練習したのかと感心した。感動して涙が出た」と満足した様子だった。
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