コロナ禍でも災害に備え訓練 ゲームで避難所運営

地域の消防団と意見を交わしながら防災ゲームを進める新庄中学校の3年生(29日、和歌山県田辺市新庄町で)
和歌山県田辺市の新庄中学校で29日、災害時の避難所運営を疑似体験するゲーム「HUG(ハグ)」に3年生41人と地域の消防団員・消防職員14人が8チームに分かれて挑戦した。同校は市の避難所に指定されている。ゲームでは次々と避難者が訪れ、トラブルが続出する中、意見を出し合いながら対処した。
HUGは「避難所運営ゲーム」の頭文字を並べた造語。プレーヤーは避難所運営の担当者となり、進行役が配布する「避難者カード」を年齢や被災程度などに合わせ適切に配置していく。防災意識を高めるほか、正解のない課題を話し合うことで、限られた資源や情報の中で判断する力も身に付くという。
ゲームは1月23日の日曜午前11時、マグニチュード(M)8・7の地震が発生したと想定。正午になり、雨が強まる中、避難所になった新庄中の前には100人ほどの避難者がおり、素早い判断が求められる―という状況で始まった。
「赤ちゃん連れがいる」「ペットが一緒だ」「たばこを吸いたいんだって」「毛布が届いたけれどどこに置けばいいだろう」「マスコミが取材用の駐車場を問い合わせている」。プレーヤーは次々配られるカードを読み上げ、対策を考えた。
各チームとも議論は白熱。「赤ちゃんのいる家族は(防音設備のある)音楽室に行ってもらおう」「健康な人は優先して3階へ」「犬は自転車置き場につなごう」「取材での駐車は一時的だから心配ない。取材は本部で対応してもらおう」。方針に沿ってカードを学校の教室や体育館に見立てた紙の上に配置した。
中村吏斗君は「さまざまな事情がある避難者一人一人に対応するのは大変。優先順位を決めて対処できたのは良かった」、大久保聖志琉さんは「いろんな意見が出るからまとめるのが難しいと感じた。でも、しっかり話し合えば、自分の提案と違う結論になっても納得できた」と手応えを感じた様子だった。
桑原仁史校長は「中学生なら避難所でも戦力になれる。地域の大人と意見を交わして物事を進める良い機会になった」と話した。
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