北前船と能代の歴史深く 旧料亭金勇で企画展

北前船の魅力と北前船と関係が深い能代の歴史や文化を紹介している企画展 (能代市柳町の旧料亭金勇で)
能代市が平成30年に文化庁の日本遺産「北前船寄港地・船主集落」に追加認定を受けたことを記念した企画展「北前船と能代〜夢と心をつないで〜」が、同市柳町の旧料亭金勇で開かれている。北前船に関する動画や北前船の模型、能代の廻船問屋の引き札のほか、全国各地の北前船関連施設のパンフレットなどを展示し、北前船の各寄港地と能代とのつながりやこの地域の歴史的魅力などを発信している。
江戸中期から明治30年代にかけて大坂と北海道を日本海回りで結んだ商船群・北前船について理解を深めてもらおうと、明治23年創業で北前船の船主も利用したとされる金勇が企画。3回目の今回は、平成30年5月に追加認定を受けた能代市の構成文化財や北前船ゆかりの文化財を紹介する市作成の写真パネルを含め約40点を展示した。
このうち動画「栄光の北前船」(北前船交流拡大機構など制作、13分)は今回初めて準備。船主自身が寄港地で仕入れた多種多様な商品を、別の寄港地で販売して利益を上げたことから「動く総合商社」と称され、さらに生活必需品だけでなく民謡、食文化なども運び、明治の近代国家の礎もつくった北前船の性格や歴史を学べる内容で、開展時間中は常時放映している。
また廻船問屋が宣伝・広告のために配った紙片「引き札」は、前回も展示した能代の財産家・平川孫兵衛の引き札(明治31年、富山県高岡市の伏木北前船資料館所蔵・複製品)に加え、「木都能代の父」井坂直幹と手を結び、木材の回送などを担った相澤東十郎の引き札(35年、山口県光市の光ふるさと郷土館所蔵・複製品)も展示。航海の安全を願った船絵馬、市子ども館で保管している北前船の秋田杉製模型、北前船の乗組員から買ったとされる珍しい古今雛も並んでいる。
併せて全国14自治体の北前船関連施設から取り寄せたリーフレットも展示・紹介しており、金勇の杉山靖広施設長は「各自治体からは快く資料を送ってもらい、北前船を縁に地域間でつながっていることをこちらも実感できた。能代の歴史と文化にも深く関わっている北前船とその魅力について、改めて理解が深まる機会になれば」と話す。
会期は3月14日まで。開場時間は午前9時30分〜午後4時30分。無料。
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