子どもを虐待から守る条例成立 地域ぐるみで防止へ 「適切な支援」市の責務
苫小牧市議会定例会は15日、本会議を再開し、市が提案した「市子どもを虐待から守る条例」案を賛成多数で可決した。児童虐待防止に特化した条例は道内でも珍しい。子どもへの虐待を地域ぐるみで防ぐため、市や保護者、市民などの責務を明記。岩倉博文市長は「不幸な子ども、悩める家庭を少しでもこのまちから出さないように取り組んでいく」と決意を示した。施行は来年1月1日。

市子どもを虐待から守る条例の提案理由など語る岩倉市長
同条例は全15条で構成。虐待は「将来にわたって子どもを苦しめる著しい人権の侵害であり、死に至らしめる恐れがある」とした上で、通告や対応、防止策などを明確化。各自の責務について、市は「予防、早期発見、迅速かつ適切な支援を行わなければならない」と定め、市民には子育て家庭などに対し「地域社会から孤立することのないよう努める」と言及。保護者に「市、児童相談所が行う子どもの安全の確認、確保に協力しなければならない」と求めている。
児童虐待防止法より踏み込み、妊婦から支援の対象とした他、通告後の子どもに虐待の恐れがないと認められても、子どもや保護者の状況に応じて対象に含めるとした。
議案審議の中で、桜田智恵美健康こども部長は専門家の意見も参考に「地域の実情に合った内容になるよう取り組んだ」と策定過程を説明。通告は「密告ではなく、相談の入り口」とも説き、罰則規定が無い理由について「支援や見守りに主眼を置いたものだから」と理解を求めた。
全会派から計9人が質問に立ち、約2週間前に市内のアパートで幼児の遺体が見つかった事件を念頭に市の対応を問う場面も目立った。市側は警察の捜査中で虐待の有無も不明確とし、個人情報を守る観点から説明を避けた。今後、事実関係が判明し、公益上必要と判断した場合には開示の可能性も示した。その際、市の対応について福原功副市長は「第三者を入れた検証が必要と考えている」と答弁した。
改革フォーラムは同事件の検証を踏まえ、条例内容を再点検した上で再提出する必要性を訴え唯一、条例案に反対した。
本会議は同条例の他、市内高丘の旧サイクリングターミナルの緑豊建設への無償貸し付け案などを含む議案5件を原案通り可決。28日まで延長した会期を短縮し、閉会した。
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