諏訪の織物を後世に 「八つ縄文織り」考案の高木さん技術を伝承

自店で開いている手織り教室で、八つ縄文織りの技術を伝える高木さん(左)
手芸材料販売の「いちき糸店」(諏訪市清水)の高木義一朗代表(73)が、江戸時代後期に「諏訪小倉」として全盛期を迎え、明治以降に衰退した諏訪の綿織物の技術を後世に残そうと、パソコンの機能を生かして新たな要素を加えた「八つ縄文織り」を考案し、技術の伝承に努めている。高木さんの下で学んだ生徒が同技術を生かしたブランドを立ち上げ、今年は都内にショールームを開設。諏訪の織りの技術と文化の伝承に明るい光が差し始めている。
諏訪地方では古くから農家の副業として、手織りの綿織物が作られてきた歴史があり、江戸時代後期には幕府の産業振興策を受けて全国で織物が盛んになる中、「諏訪小倉」は国内でも有数の生産量を誇っていた。明治時代に入り、各種織物が海外から大量に輸入されるようになると、産業としては衰退し、自家用として残るのみとなった。担い手の高齢化で技術の伝承が難しくなる中、高木さんは「どうにかして諏訪の織りの技術を後世に残したい」と試行錯誤の末、表計算ソフトを活用した「八つ縄文織り」を考案した。
「八つ縄文織り」の最大の特徴は柄の拡大・縮小を自由に行うことができる点にある。それまでは柄の大きさを決めるために必要な試し織りは最低2日かかっていたが、表計算ソフトを使った独自のノウハウにより、30分ほどで自らの意図に沿った柄になるかを確認できるようになった。
高木さんは自店で手芸材料の販売とともに手織り教室を開いており、教室で学んだ生徒が公募展で入賞を果たすなど技術は少しずつ広がっている。そんな中、教え子の一人の別府ちなみさん(53)=神奈川県=が「八つ縄文織り」を生かしたブランド「Jomon」立ち上げ、10月には都内にショールームを開設。東京で諏訪の伝統の手織り技術が発信されることになった。
高木さんは「八つ縄文織りが趣味として広がり、今度は業として伝承されることになった。業となることでより確実に次世代につながるのでは」と期待している。
関連記事
「ゆめひろば」イルミ点灯 長野県富士見町
長野県富士見町中心部にある多目的交流広場「ゆめひろば富士見」で9日夜、イルミネーションの点灯が始まった。町商工会青年部が企画し、約3万5000個の発光ダイオード(LED)電飾を園内に装飾。カ...
豊橋出身・村井弦斎を朝ドラに
明治時代のベストセラー小説「食道楽」で知られる村井弦斎(1863~1927年)をNHK連続テレビ小説(朝ドラ)の主人公に選んでもらおうと、出身地の豊橋市と晩年まで過ごした神奈川県平塚市の顕彰グル...
願いを込めて縁起物作り 根室金刀比羅神社【根室】
【根室】根室金刀比羅神社(前田穣宮司)の縁起物作りが最終盤を迎えている。9日には巫女(みこ)たちが願いを込めて縁起物作りに精を出した。 今年も初詣に向けた準備は11月から始まっており、準...
秋サケ漁獲伸びず 高水温影響、根室30%減、釧路11%増
根室、釧路沿岸の秋サケ定置網漁が11月末までに終漁し、漁獲数量は根室管内が249万3000匹(前年比30%減)、釧路管内が48万3000匹(同11%増)となった。2022年は漁獲数量が前年の...