庄内産チーズ 新たな特産品に
庄内全域の学校給食の牛乳を扱っている田村牛乳(酒田市、田村耕永社長)は新事業としてチーズの製造に乗り出し、ここ庄内から県内で初めてとなる生乳100%のモッツァレラチーズを手掛けている。田村社長は「機械による自動化が進む中、ものづくりの楽しさを大事にしたい」と完全手作りの小規模生産にこだわり、新たな特産品につなげたいとしている。
地元の飲食業関係者から「庄内産のチーズが欲しい」と要望を受けたことをきっかけに、県のものづくり補助金制度を利用しながら昨年から事業を進めてきた。社長自らチーズ作りのノウハウを学び、数カ月で作り上げ、酒田市を中心に庄内地域のホテルや居酒屋、レストランなど県内の飲食店に今年2月から卸している。
田村牛乳のモッツァレラチーズは、柔らかさが特長。きしむような独特の弾力がある食感を打開したいと、社長が当初からこだわり抜いてきた。材料は庄内一円の酪農家から集まる新鮮な生乳のほかに乳酸菌、レンネット(凝乳酵素)とシンプル。発酵させて水分と分離した後、80度の塩水の中で一気に練り上げ、一つずつ手で形成。製造は週に一度で、牛乳の製造が休止している日に社長や従業員が数時間かけて手作りする。100キロの生乳から作られるチーズはおよそ10キロ前後という。
現在は飲食店向けの卸し販売が中心だが、今後、インターネット販売のほかに地元スーパーなど販路の拡大を目指していく。さらに、県内の企業と共同して製造過程で発生するホエイ(乳清)を使ったアイスクリームなどの商品開発も進める。
田村社長は「来年、創業90周年を迎える。先代である父が遺(のこ)した『新しいことを始めなさい』という言葉もあり、このタイミングでチーズ作りができて良かった。これからはさまざまな企業と手を取り合っていかなければならない。庄内全域の経済を回していきたい」と意気込みを語った。

「まるで真珠のように白く輝きます」と田村社長。一つ一つ丁寧に成形していく

田村牛乳が製造する庄内産生乳100%のモッツァレラチーズ
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