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帯広市内中学 制服代に差 図書館司書の大平さん調査

全国各地から資料を取り寄せ、独自調査を進める大平さん

 帯広市図書館司書で市内在住の大平亮介さん(28)が、子どもの貧困への問題意識から、本業の傍ら市内11中学校の制服代や副教材費を比較調査した。制服代では学校間で最大1万円以上の差がある他、保護者の私費負担が市から支給される就学援助金を大きく上回る学校もあることが分かった。大平さんの自主的な活動は全国紙やインターネットニュースなどにも取り上げられ、反響を呼んでいる。

 大平さんは帯広出身。帯広農業高校、帯広大谷短大を卒業後、市図書館に勤めながら武蔵野大通信制で心理学を学んだ。学生時代から地域の課題解決に関心を持ち、これまでにも緑ケ丘公園のごみ放置問題を心理学的に考察して論文にまとめた他、昨年は帯広市議会厚生委員会で貧困率調査実施のための陳情をするなど社会的活動を続けてきた。

 子どもの貧困問題に関心があった大平さんは、昨年8月に「中学校の制服代に地域差がある」という全国紙の記事を読み、帯広の状況を把握しようと考えた。市内では、世帯の年収に応じて学用品や給食費を援助する「就学援助」を地域によって約2割の家庭が受けていることを知り、学校説明会や販売店に足を運ぶなどして、制服や体操着など保護者が自己負担する費用を独自調査した。

 その結果、学校間で格差があり、学校によっては制服やジャージー代などの合計が最高で男子6万5786円、女子で7万160円など、費用が就学援助金(4万7400円)で賄いきれない場合もあることが分かった。

 大平さんは「援助金の支給が夏ごろのため制服などの購入に間に合わない。支給前倒しや保護者が費用を積み立てられるよう、学校が経費をホームページに公開するなどの配慮が必要」と指摘する。

 大平さんは現在、範囲を道内他市に加え東北や九州などに広げ、役所や地元の議員らに連絡を取りながら調査を進めている。当初情報公開を拒んでいた自治体もあったが、学校説明会の配布資料が公文書であると訴えて情報公開請求を行い、当初の判断を覆し費用に関する資料を入手できたこともあったという。

 11月末には公平取引委員会が公立中学校の制服代の見直しを求めるなど、制服問題は全国的にも関心を集めた。大平さんは地域課題の解決について「数字をベースにした議論が足りない」とし、「地域の問題を『見える化』するために調査を役立て、活動を点から面に広げたい」と意気込んでいる。

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