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奄美伝統ミキ作り 諏訪市の八剱神社で田町さん講師に

ミキを作りながら、歴史や魅力を伝える田町さん(左)=諏訪市の八剱神社

 諏訪市小和田の八剱神社で26日、鹿児島県奄美地方で神事、祭事に用いられる伝統発酵飲料ミキを作るイベントが行われた。奄美大島に約20年暮らした経験を持つ自然料理家の田町まさよさん(50)=山梨県北杜市=が講師となり、県内や山梨県などから集まった15人と一緒に仕込んだ。材料のコメは同神社の斎田、サツマイモは斎畑の収穫物。参加者はご神徳と大地の恵み、出会いに感謝しながら取り組んだ。

 知人の縁で10月に八剱神社を訪れた田町さんが、境内に納められた新米と収穫されたばかりの大きなサツマイモを見て驚き「神様のお引き合わせに違いない」と直感。同神社でミキ作りを行う企画を提案した。

 ミキ作りで参加者は、神前で身を清めてから仕込みに入った。コメ約4キロをボールに入れ、水をゆっくりと注ぎ、なでるようにしてといだ。田町さんは「お米は命の源。優しく丁寧に。そして、感謝の気持ちをお米に伝えて。たくさんの『ありがとう』が詰まったミキになるから」と伝えた。参加者は米とぎやかゆ炊きなどを代わる代わる体験した。作る工程の途中で自己紹介や参加した思いなどを伝え合い、調理会場は和気あいあいとした雰囲気に包まれた。かゆにすりおろしたサツマイモを入れてさらに混ぜると、仕込み完了。各自持ち帰り自宅で発酵させる。

 米作りをしているという参加者の野村真也さん(41)=佐久市=は「ミキと出合い、コメとの向き合い方が変わった。初対面同士でも一緒に作ると自然と笑顔があふれる。きょうの出会いに感謝」と喜んだ。同神社の宮坂清宮司(70)は「神社の田畑で収穫されたコメとサツマイモを使って皆さんが楽しそうに作る姿はまさにミキのご神徳ではないか」とほほ笑んだ。

 ミキ作りは27日も神社で行う。出来上がったミキは全国から寄せられた発送希望者にも送る。田町さんによると、ミキを種にしてミキを作り足すことができるといい、「諏訪から全国に『ありがとう』が詰まったミキが届けられる」と嬉々たる表情を浮かべていた。

◆ミキ 

 コメとサツマイモで作る鹿児島県奄美地方の伝統発酵飲料。神事、祭事に用いられる神酒の原点ともいわれる。もともとはノロと呼ばれる女性司祭が神にささげるため、コメをかんで唾液で発酵させて作った口噛み酒。沖縄県にも伝わる。味は甘酒に似ているが、乳酸菌が豊富なため、爽やかな酸味も感じられる。腸内環境の改善につながるとされる。

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