父の遺志継ぐ「ハルニレ」 帯広の浦島さん写真集
アマチュア写真家の浦島久さん(67)=帯広市=は、豊頃町のハルニレを題材にした写真集「ハルニレ THE ELM TREE」を23日、IBCパブリッシングから出版した。「ハルニレの写真家」と称された、父親で写真家の甲一さん(2001年に逝去)の遺志を継ぐように、親子2代でハルニレに魅せられた。

町のシンボルツリーで多くの人に愛されているハルニレ。春夏秋冬のハルニレの美しさを捉えた写真集を手にする浦島さん
浦島さんは豊頃町生まれ。帯広市内で英語学校「ジョイ・イングリッシュ・アカデミー」を経営する傍ら、十勝の自然を中心に撮影している。町大津海岸の冬の風物詩「ジュエリーアイス」の名付け親としても知られ、2018年に写真集を出版。写真集は今回が2冊目となる。
甲一さんは郷土愛の姿勢や作品が中学英語の教科書に取り上げられ、浦島さんはそれをきっかけに09年から風景写真を撮り始めた。ハルニレに魅了されたのは同年の台風の夜、夢に出てきた甲一さんからハルニレへ向かえと聞き、行ったところ朝日が差し込む中、水たまりに映る木があった。レンズを通したハルニレはきらきらと輝き、夢中でシャッターを切ったことが始まりだ。
写真集には10年間で撮りためた約10万枚の中から、台風の翌日に撮影した写真を含む57枚を選んだ。最初は行き当たりばったりの撮影だったというが、週に1度は足を運ぶうちに徐々に撮りたいハルニレのイメージができてきた。浦島さんは「生命力や優しさ、包容力。多くの人を引き込む魅力がある」とし、自らもその1人だという。

ハルニレを親子で収めた写真集(左上が甲一さん作)
10年に渡りハルニレを撮り続けた甲一さんだが、1984年に写真集「TREE」(青菁社)を出した後は“卒業”して被写体を変えた。浦島さんは今後もハルニレの撮影をライフワークに考え、「父と同じ場所で撮影しているのは不思議な感覚。『弟子がほしい』と言っていたのを思い出して。僕に撮ってほしかったのかと今になって思うし、幼少期から見ていた父の写真に強く影響を受けている」と父の存在の大きさを話している。
A5判、127ページ。税込み2200円。全国の書店で扱っている。
発刊を記念し弘文堂で展示
発刊を記念した写真展が12月5~20日、帯広市内の弘文堂(西2南9、六花亭本店3階)で開かれる。札幌や上川管内占冠村トマムでも予定している。オンライン写真展も開催。12月6日午後7時から、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使い、浦島さんが写真を紹介する。参加希望者は、同4日までに名前と連絡先を書いたメールをjoyadults@joyworld.comへ。
関連記事
地酒で地域の魅力発信 来月31日「初夏の呑みあるき」 長野県伊那市
長野県伊那谷の地酒を味わう第28回「信州伊那街道初夏の呑みあるき」(実行委員会主催)が5月31日午後3時30分から伊那市のセントラルパーク、いなっせ北側広場、通り町商店街で開かれる。辰野町から飯田...
日本酒飲んで復興後押し 酔仙酒造・陸前高田市を応援する会 苫小牧
東日本大震災で津波被害を受けた岩手県陸前高田市と同市の酒造会社・酔仙酒造を支援する「酔仙酒造・陸前高田市を応援する会」(岡部喜代司、加藤孝治共同代表)が21日、苫小牧市住吉町のアールベルアンジェ...
500人大合唱、団員募る 帯広三条高が秋の110周年式典向け
帯広三条高校の110周年記念協賛会(松本健春会長)は、記念式典(10月18日・帯広市民文化ホール)で同窓生ら総勢500人による大合唱を披露する音楽会を開く。7月頃まで記念合唱団員を募集している。 ...
理大生が国連シンポジウムで大役 日本の薬乱防止活動を発信【山陽小野田】
山口東京理科大薬学部6年の田苗悠華里さんと梶本莉世さんが今春、オーストリアのウィーンで開かれた第68回国連麻薬委員会(CND)のシンポジウムに参加し、日本の薬学生の立場で薬物乱用防止活動の重...