崋山の遺品など特別展
田原市博物館
渡辺崋山(1793~1841年)の遺品や書簡など関連資料を集めた特別展が、田原市博物館で開かれている。生涯で描きためた書画の一部のほか、晩年の「蛮社の獄」(1839年)で捕らわれの身となった様子を題材にした素描、蟄居(ちっきょ)先で自刃に及ぶ直前にしたためた遺書など珍しい資料も多数並ぶ。11月29日まで、月曜日(祝日の場合は翌日)休館。 毎年命日の10月11日に合わせて特別展を開いている。今年は蛮社の獄で蟄居となり、晩年を過ごした田原藩で残したものなど、重文資料29点を含む36点を展示した。
晩年の資料が並ぶ一角には、自害に先立ち、息子立(たつ)や一番弟子の椿椿山に宛てた書簡と書がある。周囲が遺書と察知し、一度は事なきを得たが翌日帰らぬ人となった。 椿山への遺書では自刃への覚悟などがつづられている。蛮社の獄の際に宛てた書簡は「慎機論」を書いたいきさつとして「一夜で書いたつまらないもの」と弁明。さらに「内容も覚えておらず、罪に問われるのは残念無限」と自ら招いた災いを悔やんでいる。 蟄居を命じられた罪人であったため、墓標替わりにと書いたのが「自筆墓表」だ。「不忠不孝渡辺登」と書かれた掛け軸で、母に見つかりそうになり、慌てて巻いたときできた墨の跡が最期の生々しさを伝えている。 一方、生涯絵を描き続けた崋山の人柄がにじむ資料もある。 投獄時の記憶を頼りにつくった「獄廷素描及び記録」は、役人から後ろ手に縛られる自身の姿を描いた。 尋問のシーンでは崋山の前に飯茶碗を乗せた膳が置かれ、昔の刑事ドラマで登場した「かつ丼を目の前にする容疑者」のような珍しい構図だ。 旅先でも、死を覚悟した最晩年でも創作を続けた崋山の生きざまが表れている。
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