しな織照明器具パリの見本市へ
「日本三大古代布」の一つといわれ鶴岡市温海地域関川地区に伝わる「しな織」。これを現代的なデザインの製品にして販売している同市大山二丁目の「丸石産業」(石田純子社長)が、来年1月にフランス・パリで開かれるインテリアとデザインの国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」に、オリジナルの照明器具を出展することになった。これまで主力としてきた国内の百貨店市場が伸び悩む中、「世界」を視野に販路拡大を目指す。
しな織はシナノキの樹皮を繊維にして織るもので、沖縄県の芭蕉布、静岡県の葛布とともに日本三大古代布と呼ばれている。軽く、丈夫で、ざっくりとした風合いが特徴だ。
丸石産業は石田社長の夫の故・誠さんが1990年に創業。しな織を、帽子や財布など現代的なデザインの製品にし、主に百貨店などに販売してきた。2012年4月に誠さんの死去後は一時、事業を休止していたが、14年に長男・航平さん(37)が跡を継ぐ形でディレクターとなって事業を再開。今回は、販路開拓事業として国の持続化補助金に申請し、6月に採択が決定。見本市主催者の審査も通過し、同社としては初めて国際見本市に出展する。
出展するメゾン・エ・オブジェは来年1月22―26日にパリで開かれる。インテリア業界の「パリコレ」とも呼ばれている世界最大規模のインテリアとデザインの見本市で、前回(今年1月)は、世界166カ国の2910社が出展し、約8万4000人が来場したという。
出展する照明器具はしな織をシェード部に使ったもので、しな織の透明感を生かし、自然で、柔らかな光が特徴。現在、京都市内の業者と連携し、試作を重ねている。5種程度を出展の予定だ。
「インテリアのパリコレ」に出展予定のしな織の照明器具と航平さん
航平さんは「欧米では『自然』『手づくり』が高く評価されるので、しな織の良さもきっと分かってもらえるはず」とみる。また、シナノキの近縁種の菩提樹(ドイツ語でリンデンバウム)は欧州で神聖視され、シューベルトの歌曲でも有名。航平さんは「欧州の近縁種もかつては繊維が使われていた歴史があり、素材としても親しみを持ってもらえるのでは」とし、「国内百貨店市場は伸び悩んでおり、これからは世界に目を向けて市場拡大していきたい。新型コロナの影響が心配だが、予定通り開かれることに期待」と夢を膨らませている。
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