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荘内日報社

来年2月1-2日「王祇祭」史上初の中止

 鶴岡市黒川地区に長く伝わる黒川能(国指定重要無形民俗文化財)の「王祇祭」が来年中止されることが明らかになった。6日、春日神社の難波玉記宮司(77)から能役者をはじめ関係各所に通知された。毎年2月1~2日に行われ、500年以上の歴史がある神事が中止されるのは史上初。理由は新型コロナウイルス感染拡大を防止するためで、あらためてコロナ禍が浮き彫りにされた。

 長い歴史が連綿と続いてきた黒川能の歴史にいったん休止符が打たれることになった。「令和三年旧例祭(王祇祭)斎行取りやめ」という内容の通知が回ってきた。「新型コロナウイルス感染症の拡大防止に鑑み、いまだ感染終息が見えない状況にあり、ワクチンもできておりません。安全確保の観点などさまざまな影響が生じることを懸念しております」とし「祭りに関わる方々はじめ、祭りを見においでになる皆さまの安心、安全を最優先に考えての苦渋の決断。何とぞご理解いただきたく存じます」と書かれていた。

 「当屋」の名前でも親しまれている王祇祭は毎年、県外から多くの観光客が訪れ、夜を徹して能・狂言が舞われる。能の合間に舞台脇で酒が酌み交わされ、食事も振る舞われ、観客席も隣の人と肩が触れ合うくらいの密着度だ。さらに楽屋も狭い。例年はこれらが祭りに味わいをもたらすが、コロナ対策の「3密」回避とは対照的な環境であり、関係者が協議を重ね、中止の決断に至った。

 全ての行事を中止にするのは王祇祭ならではの特殊な事情がある。春日神社のご神体は祭りの夜は上・下両座に移され、翌朝、神社に再度戻ってくる形態。ご神体を祭る「当屋」がなくなることで例大祭の形態が取れなくなる。このあたり、イベントは中止になっても神職によって例大祭だけは行われた天神祭や、今夏の荘内大祭とは事情が異なる。

 また長く農民芸術として知られるが、近年は能役者や謡(うた)い方、鼓(つづみ)方らも勤め人と農業を兼業する人が多く、もし王祇祭がもとで感染があった場合、勤務先のクラスター感染につながることを憂慮する声なども挙がっていた。来年は中止となったが、仕切り直しの2022(令和4)年にはコロナ終息を願い準備を進めていく予定。また今月25日予定されていた「水焔(すいえん)の能」はすでに中止が決まっており、秋の能披露なども中止となる可能性が高い。

今年2月1日の下座の演能。人々が密着しての祭りだけに、来年は中止の判断となった

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