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新たな原油生産開始 初の追加開発、生産量2.5倍に-勇払油ガス田

沼ノ端に整備された原油処理設備=石油資源開発提供

 石油資源開発(本社東京、藤田昌宏社長)は26日、苫小牧市沼ノ端の勇払油ガス田で原油の商業生産を始めた。1996年に天然ガス、原油の商業生産を始めて以降、油ガス田を追加開発して新たな生産に入るのは初となる。初期生産量は日産約200キロリットル。同社は「データ解析などによる埋蔵量評価を継続し、さらなる追加開発の可能性も追求していく」としている。

 2017年7月から総事業費約27億円を掛け、沼ノ端の北海道事業所敷地内にある既存の井戸、坑井(こうせい)を改修し、生産設備や処理施設などを整備。沼ノ端などの地下約1400メートルの地層「滝ノ上層」から粘性の高い重質油を採掘し、パイプラインで流すため加温処理し、供給する。販売先は非公表だが、今年度は年産5万キロリットル、来年度以降は年産7万~8万キロリットルを計画している。

 勇払油ガス田は、1989年に発見され、96年に生産を始めた。苫小牧市の東部から石狩平野部に広がり、従来は地下3840~4850メートルの深い地層から産出。エネルギーの安定供給と新たな可能性の把握を目的に、2013年に浅い地層で産出テストを行い、重質油の埋蔵を確認していた。採算性などを踏まえて商業生産が可能と判断した。

 天然ガス採掘の遊休プラントを、原油の採掘用に転用するなどして総事業費を削減。同社は原油の生産設備を新設する場合には100億円規模の投資が必要とみていたが、遊休設備の転用などで「開発費を抑制し、経済性確保の見通しが立ったことで、商業生産を始められた」と説明する。

 18年度実績で原油は年産5万キロリットル。新たな地層でフル生産されれば、全体の生産量は2・5倍程度になる見通しだ。

 新たな地層の原油埋蔵量は非公表だが、同社は「7年間程度は生産できる」と指摘。「安定的に供給できるか見極めた上、追加開発の可能性も追求していく。今後も原油、天然ガス資源の価値最大化を推進する」と話している。

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