若者が魅力感じる職業に

パネルディスカッションで意見を交わす4氏=愛知大学豊橋校舎で
豊橋、田原両市と地元農協による豊橋田原広域農業推進会議が主催する「次世代農業人材育成シンポジウム」が22日、豊橋市の愛知大学豊橋校舎で開催された。 この春から食農環境コースが同大学に新設されるのを見据え、基調講演とパネルディスカッションから両地域の農業人材育成の可能性などを考えた。シンポジウムでは農業系だけでなく教育、商業界などの関係者ら約150人が熱心に耳を傾けた。
●基調講演 ベビーリーフの大規模栽培と販売などを手掛ける果実堂(本社・熊本県益城町)の井出剛社長が「これからの農業の可能性」を主題に話した。 井出社長は、企業が農業をビジネス化する場合「マーケティングを慎重に考えなければならない。農と業は分けて考えるべき。両方の可能性を探ること」が大切だと指摘。農業界の発展に向けては「高付加価値農産物の大規模栽培への挑戦、サイエンスによる環境整備、情報統計化による栽培履歴の集積が求められる」とした。まとめでは、耕作放棄地を減らし、良いものをたくさん妥当値で作る“能業”と、サイエンス・ITに基づく管理体系による“脳業”などの考え方を提言。「異分野技術の積極的導入が重要である」と結んだ。 一方、人材育成に対する質疑では「パブリックカンパニーの設立」を提案し、担い手や従事者の受け皿づくりをすることが戦略的に望ましいとしたほか、農業の発展性については熊本の実践例を挙げながら、観光、地域興し、教育の各分野との組み合わせを紹介した。
●パネルディスカッション 岩崎正弥・同大学地域政策学部長、福井直子・みずほ農産専務取締役、福井敏幸・県立渥美農業高校教頭、川西裕康・トヨタネ社長の4氏が、次なる農業人材をめぐって意見を交わし、議論を深めた。 農業人材の育成に関する4氏の主な発言は次の通り。 【岩崎学部長】農的暮らしの新たなライフスタイルの提唱が必要。農業版ワークライフバランスをこの地から全国発信するための環境整備を進め、新しい農業人材の育成に期待する。こうした構想をプロデュースする次世代農業サポート人材を充実させていくことが地域農業の可能性を開花させていく。 【福井教頭】農業の魅力づくりは大きなテーマであり、「かっこいい」「感動」「稼げる」の要素が重要。農業高校では作物を栽培し、収穫の喜びなどの感動を与えられる。この感動をかっこよさや稼げるという点につなげていけることが望ましい。若者が農業に夢を感じられれば、魅力付けになる。 【川西社長】これから農業で頑張ろうとする人たちは、外の世界を見てみることが大切ではないか。行政のバックアップによる農家の研修システムの確立が国内でできればいい。やる気があり、生産性を上げたいという農家に対して一定の農地を与える仕組みがなければならない、土地施策が必要。 【福井専務取締役】みんなが生き生きと過ごせる農家生活が若者を惹きつける魅力の1つになるのでは。まっさらな状態で始める新規就農では、資金や技術面で相当なサポートがない限り大変なこと。生活面を含めて指南をしていくような里親的な立場の農家による支援が、今後求められると考える。
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