日々奮闘の居酒屋「全部行ぐ。」 無料で番組制作し応援
鶴岡市内の企業が、ユネスコ食文化創造都市の食文化の担い手の1つでもある居酒屋にスポットを当て、市内の居酒屋を巡って収録した番組をインターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」で紹介する取り組みを進めている。題して「鶴岡の居酒屋全部行ぐ。」。昨年9月から投稿を始め現在22店舗をアップ。これまでの総視聴回数は5万回を超え、担当者は「市内には100軒以上の居酒屋がある。何年かけても全部行きます」と宣言している。
番組作りを進めているのは、電子部品製造やテレビ番組制作などを手掛ける同市遠賀原のエスティーエム(工藤高嗣社長)。訪れる人に喜んでもらうため、地元食材にこだわり安くてうまい料理を提供するなど日々奮闘している居酒屋を応援しようと、昨年7月に「STM Channel」を立ち上げた。
電話帳などで調べると、市内には100軒を超える居酒屋があるが、これを全部紹介することを目標に掲げ、タイトルを決めた。店舗の紹介料は無料で、1店舗当たり7分間の番組に仕上げる。
内容は、20代から60代までの男女5人のリポーターのうち1人が店を訪れ、「3000円ぴったりを目指して飲み食いする」というミッション遂行型の番組。リポーターが店舗の前で場所を紹介しながらのれんをくぐり店に入るところから始まり、店内の雰囲気や席数をリポートして酒や料理を注文。店主との会話で店のこだわりや特徴を引きだしながら、酒や料理の「ブツ撮り」「食リポ」と進む。動画を通して視聴者から来店の疑似体験をしてもらい、実際に足を運んでもらうことにつなげる。
新型コロナウイルス感染症の影響で4月から撮影を手控えていたが、2カ月ぶりに今月2日に再開した。再開第1号となった同市本町二丁目の居酒屋「花さき」に、リポーター役の同市在住のラジオパーソナリティーの小野加州男さん(66)、エスティーエムメディア事業部長でカメラマンの佐藤俊彦さん(38)、同事業部ディレクターの石川孝輔さん(31)の制作スタッフ3人が訪れ、約1時間にわたって撮影を進めた。
小野さんはメニューを紹介しながらお気に入りの酒2杯と料理3品を注文。肝心の3000円ぴったりのミッションは2700円台となり、「2カ月ぶりの収録で勘が鈍った」と苦笑い。店の雰囲気と相まって愉快で明るく楽しい収録となっていた。
花さきの女将(おかみ)の小田代(おだしろ)文子(ふみこ)さん(63)は「番組収録は初めての経験で緊張した。でも、楽しむことができ、お店がどんなふうに紹介されるか楽しみ。花さきを知らない人にも見ていただき、足を運んでもらうきっかけになれば」と話した。
飲食代や撮影に関する費用は全て同社が負担する。収録した店は、2週間ほどでユーチューブにアップする。今後、週1軒程度のペースで店舗を巡る計画。
番組を視聴した人たちから「鶴岡に行ってみたい、住んでみたい」「紹介されたお店に行って、リポーターさんと同じ料理を食べてきた。おいしかった」といったコメントも寄せられている。
佐藤メディア事業部長は「新型コロナの影響もあるが、紹介を通して鶴岡の居酒屋業界が少しでも元気になってもらえれば。居酒屋好きの市民だけでなく、旅行者や出張で訪れるサラリーマンなど多くの人が気軽に楽しめる映像を作り、地元に貢献していきたい」と話し、「鶴岡の居酒屋全部行ぐ。本気です」と意気込む。
同社は番組に登場してもらえる店舗を募っている。問い合わせはエスティーエムメディア事業部=電0235(64)1511、メール=stm.channel.mediaprod@gmail.com=へ。

2カ月ぶりに再開した「鶴岡の居酒屋全部行ぐ。」の収録=2日、鶴岡市本町2丁目「花さき」
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