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長野日報社

幻の花再生へ新段階 美ケ原にアツモリソウを

無菌培養した美ケ原個体群の芽を取り出し、土に植え替える上伊那農業高校の生徒たち

美ケ原高原のアツモリソウ保護回復事業に参画する上伊那農業高校(南箕輪村)は5日、2年かけて無菌培養したアツモリソウの芽を初めて培養瓶から出し、土に移植した。同校生徒が美ケ原個体群の無菌播種(はしゅ)に取り組んで5年目。成果を受け継ぎながら進めてきた「幻の花」再生への挑戦は新たな段階に入った。

作業には生命探究科植物コースの3年生6人が参加した。培養瓶の中では、小さな芽を付けた根が5センチ以上に伸び、生徒らは、傷つけないように慎重に取り出し、土に包んで鉢に植えていった。臨時休校中に絶滅危惧種のアツモリソウを学び、実習に臨んだ生徒たち。発芽したのはわずか二十数個体で、野溝彩奈さんは「どうやって扱ったらいいのか…。触るのも怖いぐらい」と恐る恐る瓶から取り出した。

▽人工授粉した株から採取した種の無菌播種▽ラン科の植物の発芽に当たるプロトコームの形成―とステップを踏んできた同校の無菌培養。移植した鉢には、個体の識別記号とともに、第3段階を示す「③」が記された。2鉢を移植した田中瑞歩さんは「先輩たちが培養した大事な芽だと思うと責任を感じる。無事に育ってほしい」と願った。

13年前に始めたアツモリソウの無菌培養の研究を基礎に、2016年度に美ケ原個体群の人工交配に着手した同校。18年度に芽の元になるプロトコームの形成を確認し、19年度には根や芽への分化にまでこぎ着けてきた。指導する有賀美保子教諭は「やっとここまできた。先輩たちの思いがちゃんと次の代にバトンタッチされ、きょう培養瓶から外に出すことができた」と感慨深げだった。

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