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「味守る」遺志継ぐ家族 清水「いとう」伊藤英人さん死去

在りし日の伊藤さん

 豚丼の人気店「ドライブインいとう」(清水町熊牛)の創業者で、4日、店の倉庫で起きた火災の犠牲になった伊藤英人さん(享年76)。家族はチャレンジ精神で人生を切り開いた伊藤さんの遺志を継ぎ、その味を日本中、世界中に広めることを誓っている。

 伊藤さんは1943年帯広市生まれ。清水町育ち。清水高校を卒業後、帯広市内の雑貨問屋勤務を経て68年ごろ、家業の雑貨店を継ぐため熊牛に戻った。「地域の役に立つ商売」を信条に、プロパンガス販売などを展開。70年代以降は農家の所得向上のため、スイートコーンや枝豆など高収益作物の生産を促し、東京の市場に卸す事業に注力した。

 その傍ら、食道楽と料理好きを生かして飲食業にも挑戦。帯広時代に食べた豚丼の味を思い出しながら、ショウガとニンニクをふんだんに使った秘伝のたれを3年がかりで完成させた。73年に国道274号沿いの現在地に店を構えた。

 妻の京子さん(72)と共に4人の子どもを育てながらの商売は苦労も絶えなかったが、店は繁盛した。もっとも、子どもたちを育て上げた後は、夫婦2人で生活できるだけの仕事を続けようと考えていたという。

 転機は15年余り前、熊牛を離れていた長男和隆さん(44)と次男友理(とものり)さん(43)が、父の味を継ぐため帰郷したこと。ちょうど道東自動車道の延伸が進み、交通の流れが変わり始めた時期でもあり、将来を見据えて外に打って出ることを決意した。

「いとう」の味を守ることを誓う伊藤さんの家族

 この時、武器になったのが秘伝のたれ。持ち前の行動力を発揮し、道主催の展示会で売り込み、商標登録も取得。2004年に「豚丼名人」「からまる味な名人」として販売を開始した。味が評判を呼び、全国の物産展から声が掛かるように。11年には新千歳空港内での出店につながった。

 現在は長女さつきさん(48)夫妻も経営に加わり、次女由希さん(47)を除き家族5人を中心に会社を切り盛りする。亡くなる少し前に残した手記で伊藤さんは、新型コロナウイルスの影響を「子どもたちがさらなる大きな会社にしていく上での試練」とし、家族で守り育ててきた味が「世界に羽ばたくことを願っている」と書き残した。

 家族の思いも同じ。「秘伝のたれを守り続けることを、お客さんもおやじも望んでいると思う。豚丼だけでなく、さまざまな料理に合うこのたれを、十勝の食材と一緒に全国・海外に発信していきたい」(友理さん)と前を向く。

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