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宮下製餡所 惜しまれ廃業 地域の菓子支え88年 帯広

「長年帯広の市街地で製造し続けられたことに感謝しかない」と本社を背に話す宮下社長

 帯広市内の老舗「宮下製餡所」(西1南4、宮下宜則社長)は、6月末での廃業を決めた。創業から88年、一貫して十勝産小豆を100%使用し、道内でも数少ない「生餡(あん)」と呼ばれる加糖前の餡を主力に、有名菓子店や製パン会社などと長年取引するなど、菓子文化を下支えしてきた。3代目の宮下社長(69)は「取引先にはご迷惑をかけるが、機械の老朽化が進み、事業の将来性を考え決断した。お客さまには感謝しかない」と話している。

 宮下製餡所は1930年、宮下社長の祖父で市内で畑作を営んでいた栄蔵氏(故人)がオベリベリ1(現電信通周辺)で創業。53年に現在地に移転、57年に法人化(有限会社)して2代目社長に父善夫氏(故人)が就任した。

 90年には現在地で工場を全面改築して機械化。宮下社長は71年に入社し、92年に社長に就いた。その後、練りあんの一般販売も事務所内で開始。現在は、息子の全弘専務(39)らと工場を切り盛りする。

 宮下社長によると、製餡所は和菓子店の隆盛とともに昭和30年代には市内だけで30事業所以上あったという。

 コンビニエンスストアやスーパーの台頭によって和菓子やパン製造も集約化され、個人店は減り製餡専門業も激減。全国も同様の傾向で日本製餡協同組合連合会の加盟企業は同社を含め、十勝に4社しかない。

 同社は廃業について、現在地では法的に面積規制などがあり、工場を拡充できないことや、取引店の閉店で取引企業数はピーク時の3分の1ほどに減少し、将来的にも受注増が見込めないこと、人手の確保が年々厳しくなっている点などを挙げる。「この場所の地下水は水質が良く澄んでいて製餡に適していた。移転候補地を調査したが、今以上の水はない」と宮下社長。

 砂糖を加え菓子やパンなどで使う練りあんの原料となる生餡。現在の取引先は管内でも名の知られた企業や菓子店が多い。長年取引する企業の幹部は「色が良く品質が高い。全幅の信頼を寄せていた」と惜しむ。

 廃業後の跡地利用は未定。宮下社長は「生餡にこだわり、同業他社が行っているような加工品の開発などもしなかった。機械化したが、最後は職人の感覚が求められる。取引先には鍛えられ、そのおかげで今がある。残りの期間も精いっぱいいいものを作りたい」と話していた。

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