「雷屋」略式代執行で解体へ
鶴岡市は30日、廃虚化している同市堅苔沢の旧「ホテル雷屋」の建物について、空家対策特別措置法に基づき略式代執行による解体を行う「代執行宣言」を行った。所有者に代わって危険な空き家を行政が強制的に解体、撤去を行うもので、同市内では初の行政代執行。工事費1億7545万円を市が投じ、今年12月までの工期で解体する。
解体するのは、1973(昭和48)年に建てられた鉄筋コンクリート造り7階建ての本館(延べ床面積約3100平方メートル)のほか、鉄骨造りの渡り廊下、木造の社員寮、倉庫で延べ床面積約3400平方メートル。ホテル運営会社が2007年に破産手続きを開始して解散。物件の買い手が付かないため破産管財人が全部不動産の管理を放棄し、実体のない法人が所有する形で建物が放置され、地元住民が市などに解体、撤去を要望していた。
建物は約12年間放置されて老朽化が進み、周辺の民家付近に外壁や屋上の金属製フェンスの一部が落下したり、建物内に不審者が出入りするなど問題となっていた。市は応急措置を繰り返してきたが、庄内沖を震源とする昨年6月の地震の際には、渡り廊下の柱に亀裂が入り、外壁が落下。8月には倉庫の屋根の崩落が確認されるなど、市は危険性が高まっていると判断した。市は9月、空家対策特別措置法に基づき、所有者不明の空き家を自治体が公費で強制撤去できる「特定空き家」に認定。公告などの手続きを経て、略式代執行を正式決定した。2005年完成で比較的新しい浴場棟は対象外とした。
法律に基づく代執行宣言は30日午前9時半、国道7号沿いの旧雷屋玄関前で行われ、市の担当職員、地元住民、解体工事を請け負う同市下川の山本組の関係者ら約30人が見守る中、皆川治市長が建物に向かい「当該建物の除去と屋内残置物の処分に着手する」と宣言した。その後、関係者らが旧ホテル内に入り、フロント部分のみ内部の状況を確認した。
7階建ての旧本館は今後、建物内部にある残置物の処理、一部に使用されているアスベストの除去などを経て今年8月下旬から本格的な解体に入る。旧社員寮と倉庫は4月、渡り廊下は7月に解体し、全体の工事完了は今年12月中旬の予定。解体工事費のうち国の補助が約6000万円ある。解体費用の回収はめどが立っていない。
代執行宣言に立ち会った地元の堅苔沢自治会の本間光男さん(71)は「かつては地域のシンボルで自慢の建物だったが、近年は壁が崩落するなど住民の不安が高まり、引っ越す家庭もあった。解体は歴代の自治会長が粘り強く要望を重ねてきた結果であり、安全に解体工事が進むことを願っている」と話した。

地元住民ら立ち会いの下、皆川市長が旧雷屋の建物に向かい、解体の「代執行宣言」を行った

略式代執行で解体される旧雷屋の建物
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