芭蕉が陸羽西線下り
JR陸羽西線の利用増に向け、酒田市と新庄市、庄内町、戸沢村の沿線4自治体が連携してPR動画を制作し、動画投稿サイトYouTubeで公開している。沿線の地域おこし協力隊員が中心になって企画したもので、松尾芭蕉が最上川舟下りならぬ〝陸羽西線下り〟をしながら周辺の観光スポットを紹介するというユニークな展開で、沿線の魅力をアピールしている。
陸羽西線は1913(大正2)年から翌14年にかけて新庄―酒田間で整備された。その後、余目―酒田間を南北に延伸する形で羽越本線が整備されており、陸羽西線が庄内における鉄道の先駆けだった。現在の営業区間は新庄―余目間の43・0㌔。羽越本線の余目―酒田間に接続する形で、ワンマン2両編成のディーゼル機関車が1日6往復している。愛称は「奥の細道最上川ライン」。
利用者は、JR東日本が発足した1987年度の1日平均2185人に対し、近年は通学の高校生が中心となり、2017年度は同401人、18年度は土砂崩れによる3カ月間の区間運休もあって345人と減少。30年間で80%超という減少率は「近年廃止されたJR路線の、廃止前と同水準」(2018年10月、陸羽西線高速化促進市町村連絡協議会で会長の丸山至酒田市長)という危機的状況だ。
動画はこうした状況を改善しようと制作。要請を受けた酒田市の地域おこし協力隊員・阿部彩人さん(39)=同市大蕨=が中心になって企画を練り、昨年10月から11月初旬にかけて撮影した。
同市と新庄市、庄内町の協力隊員5人をはじめ、沿線自治体の職員や住民、約60人が出演。阿部さんが「最上川舟唄」をもじって作詞・作曲した曲「おぐのほそ道 彩りワンダーライン」が流れる中、芭蕉と弟子に扮(ふん)した男性2人が新庄駅から陸羽西線に乗り、最上川沿いの紅葉や稲刈りを終えた庄内平野など美しい風景の中、酒田までの旅を楽しむという設定だ。
途中、芭蕉乗船の地(新庄市)や最上峡芭蕉ライン舟下り戸澤藩船番所(戸沢村)、清川歴史公園(庄内町)、山居倉庫(酒田市)など沿線の観光スポット9カ所では、住民らがオリジナルダンスを踊ってにぎわいを演出。無人駅で降りるときは運転士に運賃を渡すなどローカルルールも解説している。
監督・撮影・編集もこなした阿部さんは「今回あらためて陸羽西線に乗り、最上川沿いをゆっくり走る景色に感動した。自動車では味わえないくつろぎ感がある。その魅力を伝え、乗ってみようかという人が少しでも増えたらうれしい。今後はプライベートで缶ビール片手に乗りたい」と話す。
酒田市企画調整課の真島孝幸さんは「人口減少の中では通勤・通学の利用増は見込めず、観光客を増やさないといけない。今も少数派だが、比較的若い層が観光で乗るケースはある。インパクトがある動画に仕上がったので、さらにそうした層の心を捉え、利用増につながれば」と期待している。
動画は先月13日からYouTubeで公開され、「『設定がシュールで面白い』などの反響がある」(阿部さん)という。

PR動画の一こま。芭蕉などに扮した男性が陸羽西線に乗り、車窓越しに最上川沿いの紅葉を楽しむ(YouTubeより)
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