紋帖「平安紋鑑」の令和改訂版刊行
鶴岡市出身の紋章上絵師(うわえし)・地主成利さん(64)=京都市中京区=が理事長を務める京都紋章工芸協同組合が、紋帖「平安紋鑑」の令和改訂版を刊行した。平安時代から全国に伝わる家紋約4500種を統一規格としてまとめたもので、全国の紋章工芸関係者がバイブルとしている。在庫がなくなり、16年ぶりに改訂発行したもので、地主さんは「故郷・鶴岡の人たちへの恩返しや紋章文化の普及につながれば」と刊行への思いを語った。
刊行された「平安紋鑑」令和改訂版
平安紋鑑は初版が1936(昭和11)年に刊行された。地主さんによると、当時は祝祭日を「紋日」として、子どもたちが学校に紋付きの着物を着ていくなど、家紋は日常生活の中に溶け込んでいた。一方で、見本となる紋帖はさまざま出回り、同じ家紋でも形がかなり違うこともあった。そのため京都の紋章工芸関係者が中心になり、全国の統一規格として紋鑑を刊行した。
2004年の第12版まで刊行されたが、出版元が廃業したこともあり、在庫が底を突き、ここ数年は入手できなくなっていた。そこで組合が、関連の業界団体である一般社団法人京染会と共同で、新たな出版元で令和改訂版を刊行した。
特徴としては、判型を横長から縦長にし、現代人にも使いやすくした。不鮮明だった紋章はパソコンを使った手描きやデジタル処理で補い、鮮明にした。初版に載って以来、第2版以降は割愛されていた華やかな「加賀紋」約20種をカラーで復活させた。漢字約800種の行書・草書・篆書・角字印譜、ぶん回し(コンパス)で円を5分割などにする「割方」、代表的な家紋の作図方法も載る。大名の花押を増やすなど全体的に掲載事項を増やし、旧版より約30㌻増となった。
地主さんは「加賀紋は、華美な衣服が禁止された江戸期、せめて家紋ぐらいはと華やかさを競い合ったもの。再びカラーで載せたところ、これ目当てで改訂版を求める人もいるほど関心が高い」という。
地主 成利さん
また、「鶴岡を出て42年。当初は右も左も分からなかったが、京都の人たちに育てていただき、今の自分がある。ただ、自分の土台は故郷・鶴岡にあると思っている。恩返しとしてこれまでも『平安紋鑑もんきりあそび』を刊行するなど、家紋の普及に努めてきた。今回も故郷への恩返しや、家紋の歴史や奥深さに触れ普及につながればという思いを込めた」と話した。
A5判、256㌻、一部カラー刷り、3000円(税別)。初版は1500部。問い合わせは出版元の赤々舎=電075(746)7949=へ。
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