感染者の対処法など確認
国や県、港湾利用者らが酒田港の保安対策を話し合う「酒田港保安委員会」(委員長・安食稔也県港湾事務所長)が19日、酒田市の県港湾事務所で開かれた。新型コロナウイルス感染症対策について情報交換し、感染が疑われる症状の船員らへの対処方法などを確認した。
テロへのソフト面の対策を中心に同港の保安対策について情報共有・連携する場として2004年6月、国土交通省や県、酒田市、酒田海上保安部、東京税関、法務省仙台出入国在留管理局、厚労省仙台検疫所、港湾利用者らで立ち上げた組織。今回は定例会の一つだが、新型ウイルスの情報共有のため、約1カ月前倒しで開催。関係者約30人が参加し、冒頭のあいさつ以外は非公開で行われた。
事務局によると、新型ウイルスについては、これまで国や県が作成した感染防止のためのポスターやチラシを港湾利用者らに配布して周知を図っていることや、国内での感染状況、過去14日以内に中国湖北省・浙江省に滞在したことがある人の入国拒否の措置、感染が疑われる人への対処方法などについて情報交換した。
このうち入国拒否については既に今月12日、1件3人について実施した。韓国釜山間との定期コンテナ船の船員3人が、湖北省発行の旅券を持っていたため、出入国在留管理局が入国を拒否したもの。酒田港の定期コンテナ船は週3便で、うち2便は釜山、1便は釜山や中国上海・寧波と往来している。
有事の対応では、今の時期に酒田港に入港する外航船は貨物船のみで、荷物については通常、全国の港で行っている「無線検疫」を継続する。事前に船内の保健状況などに関する情報提供を受けて審査するもの。
船員については、外国から最初に寄港する「ファーストポート」になった場合は下船時、サーモグラフで検温するなど検疫を行っている。ファーストポート以外で、もし感染が疑われる症状の船員がいた場合は船舶代理店を通じて連絡を受け、県(庄内保健所)の指示を仰ぎながら医療機関につなぐなど対処する。
客船・貨客船の乗客・船員の検疫も原則として貨物船と同様。ただ、ファーストポート以外で検温などを行う可能性を含め、「今後の感染の推移を見ながら、状況に応じて対応を検討する」(事務局)という。
酒田港では今年4―11月に大型クルーズ船が9回(外国船6回、邦船3回)寄港する予定だったが、新型ウイルスによる安全性などを考慮し、4月のダイヤモンド・プリンセスと8月のMSCスプレンディダ各1回が中止された。最も近い寄港予定は、8月4日のコスタ・ネオロマンチカ。
委員会終了後、県港湾事務所の杉山純一副所長は「引き続き水際対策を徹底するよう、関係機関と連携して対応する」と述べた。

新型コロナウイルス感染症対策について情報交換した酒田港保安委員会
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