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北羽新報社

能代市民ミュージカル感動誘う

観客を幕末の世界に誘った「綺談 戊辰戦争能代物語」(能代市文化会館大ホールで)

 能代市民ミュージカル実行委員会(今立善子実行委員長)の第4回公演「綺談(きだん) 戊辰戦争能代物語」が12日、市文化会館大ホールで行われた。慶応4(1868)年に新政府軍に味方した久保田(秋田)藩が旧幕府軍の庄内藩や盛岡藩などに攻められた秋田戦争にスポットを当て、官軍の奥羽鎮撫隊(ちんぶたい)一行が到着した能代湊での動き、武家と町人が古里を守るために手を携えて立ち上がる姿を熱演。詰め掛けた約1190人の観客を幕末の世界に誘い、感動の渦に包んだ。

 物語は慶応4年3月、新政府軍奥羽鎮撫隊総督の九条道孝が奥羽諸藩に会津・庄内攻めの命令を下し、鎮撫隊第2大隊長で長州藩士の桂太郎が庄内藩との戦闘を指揮するシーンで幕開け。能代ミュージカル・キッズが時代背景を歌や踊りを交えて説明したのに続き、本編が始まった。
 同年5月、鎮撫隊が弘前藩の説得に赴くため、桧山領を通過すると知った領主・多賀谷睦昭は鎮撫隊をもてなすことを決め、家臣や尊王派藩士に指示を出し、能代湊の町人らにも協力を要請する。
 能代入りした鎮撫隊一行は長慶寺本堂に本陣を置き、町人らは手分けしておもてなし。その中で1人の娘が桂に敬愛の心を抱き、話を交わすうちに心を通わすように。1カ月後には久保田藩が同盟を脱退、新政府軍に加わることとなり、桂は娘からお守りを受け取り、鎮撫隊を率いて盛岡藩兵を迎撃するために出兵。その後、多賀谷はきみまち阪に陣を構えていたところ、能代湊の町人たちが民兵としてはせ参じ、助力を申し出る。多賀谷は従軍を許し、共に古里を戦火から守ろうと気勢を上げたところで幕を下ろした。
 劇中では、古里・長州を離れ、若いながらも隊長としての重責に悩む桂や、鎮撫隊とともに天皇の役に立とうと家臣らとともに生き生きと活動する多賀谷、古里を守ろうと民兵を組織し、武家とともに戦おうとする町人らの姿が人情味たっぷりに演じられた。
 また、実行委員長の今立善子さんが演じる〝善ババ〟は、幕間で登場。コミカルな能代弁と演技で、当時の世相などを解説し、観衆の爆笑を誘った。
 フィナーレは、キャストが勢ぞろいし、「大いなる流れの中で生まれ変わった者達の唄」、市民ミュージカルのテーマ曲「この街」を高らかに歌い上げ、観客席から盛大な拍手喝采が送られた。
 ミュージカルを毎年見ているという越前谷清美さん(60)=同市花園町=は「史上最悪ともいわれた戊辰戦争で、当時の能代がどうだったのかに関心があった。これからも平和な世の中であってほしい」と話した。
 今立さんは「今回の作品は演じる上でとても難しかったが、150年前の戦争の残酷さ、平和が一番だということを伝えられた。県外からも多くのお客さんに来ていただきありがたく思う」と達成感をにじませた。
 市民ミュージカルは平成28年7月にNPO法人市芸術文化協会の能代ミュージカル制作委員会の元メンバーを中心に立ち上げた。今回の公演は小学生から70代までのキャストと、スタッフ合わせて約100人で舞台を作り上げた。

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