ホッキ貝、日本一の漁場守る 休漁期間活用で資源管理-苫小牧漁協
漁場から間引きした老齢のホッキ貝
水揚げ日本一を誇る苫小牧漁業協同組合のホッキ漁。今季も21日に夏漁の「ノルマ」を達成し、12月上旬の冬漁開始に備えている。漁業者たちはこの短い休漁期間を生かし、ホッキの移植放流や老齢貝の間引きを展開。徹底した資源管理と改善の取り組みで、前浜の良好な漁場を守っている。
苫小牧のホッキ漁獲量は市町村別で日本一を継続中。苫小牧漁協が地域団体商標、いわゆる地域ブランドに「苫小牧産ほっき貝」として登録している。苫小牧の漁獲海域は東西約30キロに及ぶ上、徹底した資源管理が漁獲増を支えている。道内のホッキ貝は海面調整規則に基づき、長さ7・5センチ以上で漁獲できるが、苫小牧漁協は9センチ以上に制限。漁期も夏の7~11月、冬の12月~翌年4月と分け、漁獲条件を設けて操業し、5、6月の産卵期は禁漁にしている。
2016年度からはさらに夏・冬漁の終了直後に移植放流や間引きを展開している。ホッキは10年に一度の割合で大量発生するといい、苫小牧沖では14年に大量発生が確認されたためだ。漁場でホッキが過密化すれば、餌を取り合って成長を阻害したり、重なって「吸管」をふさいで死んだりし、ヒトデなど外敵も増える悪循環に陥る。漁業者たちは漁場ごとの資源状況を確認しながら、ホッキを漁場間で移し替え、老齢貝を間引いている。
今季のホッキ漁は漁業者96人を、夏・冬漁に48人ずつ割り振って展開。夏漁は7月1日に始まり、21日に上限396トンの漁獲を終え、22日から27日までをめどに移植放流と間引き作業を行い、漁場やホッキ品質の改善につなげている。漁場については沖合29カ所に分かれており、「過密区域」を平準化する作業が続いている。
苫小牧のホッキ漁はそもそも「噴流式桁曳網」という、船から水底に水流を送って貝を掘り起こし、動力もロープの巻き取りで推進する「優しい漁法」(苫小牧漁協)。ホッキが軟らかい砂地を好む特性を重視し、畑を耕すように漁場を育ててきた。休漁期間の移植放流や間引きは、営々と続く資源管理型漁業の深化で、苫小牧漁協の赤澤一貴総務部長は「ホッキが常に安定して獲れるよう、漁業者、漁協、関係機関で厳しく資源管理しているからこそ、水揚げ日本一を続けることができる」と強調している。
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