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紀伊民報社

VRで炭焼き技術継承へ

備長炭作りの「はね木」の技術について、ゴーグルでVR動画を見たり(手前)パソコンで定点動画を見たり(中央)する町職員=7日、みなべ町芝で

 仮想現実(VR)の技術を使って、備長炭を焼く伝統技術の保存、継承に役立てようとする取り組みが和歌山県みなべ町で始まった。VR動画を見ることで、製炭士の目線を疑似体験することができ、関係者は技術を学ぶことに役立つことを期待している。

 VR動画では、製炭士の頭上に着けたカメラで撮影した動画で360度見渡すことができ、その場に居るかのように体験できる。
 古くから「良い炭を焼くためには、炭は窯出しの際の余熱を利用して焼いていく」といわれ、窯を冷まさないよう、窯出しが終わってまだ窯が熱い状態から窯入れを始める。その状態では熱くて窯の中に入ることができないため、外から木をくべていく「はね木」という作業が行われてきたという。
 今回、その伝統技術を同町清川の製炭士、原正昭さんに実演してもらい、VR動画に収めた。
 主催は京都大学農村計画学研究室(鬼塚健一郎准教授、4回生の奥野雄太さん)、共催は町地域おこし協力隊の青木友宏さん。青木さんは「炭焼きの作業現場はタイミングや時間、作業への支障などの問題から、限られた人しか知らなかったり、外からでは分かりにくい部分があったりする。疑似体験できないかと考え、大学と連携して取り組むことになった」と話す。
 VR動画が伝統技術を学ぶことにどれだけ貢献できるかを検証するため、7、8日に町職員約30人に協力してもらって調査した。
 調査は、はね木の方法について、説明が書かれたプリントを読んでから体験する人、製炭士の後方から撮影した定点動画をパソコン画面で見た上で体験する人、製炭士の頭上カメラで撮影したVR動画をVRゴーグルで見た上で体験する人の3グループに分かれて実施した。VR動画は他に比べてどこに効果があるかなどを比較、検証する。
 町役場の駐車場の隅に窯に見立てた場所を設け、町職員はそれぞれ学んだ方法で「立て又」と呼ぶ、先に二股に分かれた金具が付いた長さ3・6メートルの棒や、原木を載せる「コロバシ」を使って作業を体験した。職員は調査のためのアンケートにも回答した。
 職員からは「VR動画は、製炭士の後ろから作業を見るのではなく、製炭士の目線で見ることができ学びやすいと思った」「定点動画とは違い、自分がやっているような感覚になり分かりやすい」という感想があった。
 町産業課は「先進技術を活用した取り組みができ、製炭士が減少する中で、伝統技術の継承や後継者育成に役立てることができればうれしい」と期待する。

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