動物捕獲用「落とし穴」見つかる 与助尾根遺跡の発掘調査
与助尾根遺跡で初めて見つかった落とし穴(手前の半円形の穴)と新たに見つかった住居跡(中央の半円形のくぼみ)
茅野市教育委員会は17日、同市豊平の国特別史跡「与助尾根遺跡」の発掘調査で、動物を落として捕まえる「落とし穴」が4カ所で確認されたと発表した。同遺跡で落とし穴が見つかったのは初めてで、縄文時代中期(約5000年前)の集落として全国的に知られる遺跡だが、集落ができる以前は縄文人の狩り場だったと考えられるという。
調査は保護・保存を目的に、竪穴住居の復元家屋西側にある与助尾根台地斜面の崩落(長さ約30メートル、高さ2~3メートル)に伴い実施。盛り土工事に先立ち5月から調査に入り、昭和20年代に宮坂英弌(ふさかず)が調査、確認した住居跡の再確認作業と、周辺の地形や遺構を畑地だった地表面から約60センチ掘り下げて調べていた。
落とし穴は、8カ所で見つかった穴のうち4カ所で確認した。このうちの一つは楕円形をしており、見た目は長い辺が160センチ、短い辺が85センチで深さは55センチ。落とし穴の特徴である、動物を捕まえるために穴底に立てた棒「逆茂木」の穴も見つかっている。
さらに、落とし穴の長辺の内壁に土を盛り凸状にする「貼壁」も確認。貼壁は穴の上部を狭くすることで穴に落ちた動物の動きを抑える役割があるとされ、ほかに内壁の下部を何らかの道具で削り、上部を凸状にしたような跡のある落とし穴も見つかった。
今回の発掘・確認調査では落とし穴のほか、新たに住居跡1棟が落とし穴の上に重なる形で発掘された。このため落とし穴が作られた時期の後、住居が作られたとみるのが自然といい、周辺に住居(集落)ができる以前は、狩り場になっていたと考察。落とし穴全てが同じ時代に作られたかはっきりしないという。
担当する文化財課の小池岳史さん(52)は「新たな住居跡が発掘されたことで、集落がこれまでより西に広がっていたことが確認された」と話し、落とし穴については「市内では出土例が少なく貴重」としている。
現地説明会は20日午前10時から開く。
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