3回蒸留製法で米こうじの優しい甘みと香りを引き出した新ジャンルの泡盛「尚」をPRする右から八重泉酒造の座喜味盛行代表取締役社長と請福酒造の座安一樹営業課長=16日午前、県庁
3回蒸留製法で米こうじの優しい甘みと香りを引き出した新ジャンルの泡盛「尚」。左が八重泉酒造、右が請福酒造のラベル=16日午前、県庁
【那覇】八重泉酒造や請福酒造を含む県内12酒造所が蒸留を3回行う製法で米こうじの優しい甘みと華やかな香りを引き出した新ジャンルの泡盛「尚」を共同開発した。世界の4大スピリッツとされるウオツカやテキーラなどを超える「和のハードリカー(蒸留酒)」を目指す。
県酒造組合(佐久本学会長)の沖縄型産業中核人材育成事業でマーケティングやテイスティングなどの技術を習得した泡盛製造業者が中心となり、最も和を感じさせる蒸留酒を研究。米こうじの甘い風味を出しながら、4大スピリッツが持つ雑味のなさも兼ね備える味わいを品質目標に設定し、通常1回の蒸留を3回に増やした。
2017年度から2年間の同事業と勉強会で試行錯誤を重ね、昨年11月上旬に試作品が完成。泡盛業界全体での取り組みが必要と考え、全業者に情報を開示して参加を募り、12社が賛同した。
アルコール度数は40度で統一し、価格は720㍉㍑で3000円台。パッケージは離島3社は海を表す青、本島北部の4社は森をイメージした緑、中南部の5社が首里城の伝統の赤でラベルを分けた。
3回の蒸留以外は各酒造所の製法で作られるため、12社それぞれ香りや味わいが異なり、㈲八重泉酒造(座喜味盛行社長)はアーモンドミルクのほのかな甘い香りと、かすかな苦味のあるマイルドな味わい、請福酒造㈲(漢那憲隆社長)はドライフルーツや梅の花を思わせる優しい香りと米由来の柔らかな甘み、キレのあるのどごしが特徴。
12社とも25日から開幕する「沖縄の産業まつり」の特設ブースで発売。八重泉と請福は税込み3300円で販売予定で、今後は八重山をはじめ県内外にも販路を広げていきたい考え。
16日午前、県庁で会見した座喜味社長(43)は「各社バラエティーに富んでいて楽しめる。沖縄から全国、世界に向けて勝負していきたい」、請福酒造の座安一樹営業課長(48)は「産業まつりで客の反応を見てターゲットをつかみながら、広げるチャンスをつかんでいきたい」とそれぞれ語った。
佐久本会長は「泡盛の昔ながらのイメージを変えるきっかけとなり、新たな客層をつかまえられたら」と期待している。
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