黒森歌舞伎ポーランド公演控え 黒森小で“絆”の傘福作り
酒田市の黒森小学校(船山和彦校長)で10日、ポーランドの小学生と連携して取り組む「傘福アートプロジェクト」のワークショップが開かれ、全児童41人が和紙で、庄内伝統のつるし飾り「傘福」の飾りを作った。地区に伝わる黒森歌舞伎(県指定無形民俗文化財)が11月にポーランドで公演する際、現地の小学生にも同様の飾りを作ってもらい、両国の紙飾りを交ぜた傘福を2基制作、1基ずつ持ち合うことで絆とする。
黒森歌舞伎は、ポーランド・日本国交樹立100周年を記念し、日本の約170の地芝居を代表して招かれる。継承団体「妻堂連中」(冨樫久一座長)を中心に、地区や市の関係者ら41人が11月2―9日に渡航し、首都ワルシャワ市など2都市で計4公演するほか、多彩な文化交流をしてくる。同歌舞伎の海外公演は初。
傘福アートプロジェクトは、酒田市出身の画家・佐藤真生さん(56)=東京都渋谷区猿楽町=が2016年、市美術館で展示会を開いた時に始めた。「傘福」は子どもの健やかな成長を願い、布細工の飾りを和傘につるし、寺社に奉納したもので、佐藤さんはこの伝統文化をアートの形で継承したいと、誰でも取り組めるように、布細工の代わりに和紙の切り絵を取り入れた。
今回は、黒森小の児童も普段から少年歌舞伎などで黒森歌舞伎に関わっていることから、市教委が「何らかの形でポーランド公演に参画させたい」と佐藤さんに協力を要請した。同プロジェクトは市美術館の後、フィンランドとニュージーランドでも行っており、今回が4回目という。
この日は佐藤さんが同校で全児童に「傘福は何でもつながる。サクラは一つ一つの花自体が美しいが、たくさん集まればもっと美しくなる。みんなの作品も同じ」と、これから作る傘福の魅力を説明。岐阜県産の美濃和紙を直径12センチの円形に切った紙300枚を児童に配った。紙は両国の国旗(ともに紅白)や日本の桜、ポーランドの雪などをイメージし、半数は白のまま、半数は淡いピンクに染めたもの。子どもたちは紙に自由にはさみを入れ、万華鏡のような、幾何学的な模様を切り取った。
3年生の佐藤茉莉花(じゃすみん)さん(8)は「自由に切り、いろんな模様ができるのでとても楽しい。歌舞伎が成功してほしいし、ポーランドの子どもたちも傘福作りを楽しんでほしい」と話した。
佐藤さんは妻堂連中らと共に、紙飾りの半分と和傘を持ってポーランドに行き、ワルシャワ市のベドナルスカ小学校で同様のワークショップを実施。両国の紙飾りを糸でつないで和傘につるし、傘福1基を完成させ、寄贈する。そして、ポーランドの子どもが作った紙飾りの半分を黒森小に持ち帰り、もう1基の傘福を完成させる予定。

佐藤さんの指導で和紙を切り、傘福用の飾りを作る黒森小の子どもたち
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